[PS02-85] 福島県天然記念物「白山沼のイトヨ生息地」における底生動物相
福島県会津若松市にある福島県天然記念物「白山沼のイトヨ生息地」は緩やかに水が流れる面積約3300m2の沼で,元々湧水地であったが,湧水量の減少によって現在では地下水を汲み上げて水量が維持されている。白山沼では,冬季に多数飛来するカモ類のフンが沼底に堆積していること,保全活動の一環として夏季に沼内で大規模清掃が行われていること,特定外来生物であるアメリカザリガニが多数生息することなど,沼内に生息するイトヨを含む水生生物に悪影響を及ぼすかもしれない問題が生じている。しかし,イトヨ以外の水生生物に関する調査はこれまで実施されていなかった。演者らが白山沼の底生動物相調査を2023年に実施したところ沼内から69種の底生動物が記録され,その中には環境省や福島県のレッドリスト掲載種が8種含まれていた。また,福島県内で現在確実な生息地は白山沼のみと考えられるコウチュウ目の種や国内では36年ぶりの発見となるトビケラ目の種も記録された。一方,アメリカザリガニ以外の外来種が5種も記録された。調査結果に基づいて,白山沼に生息する重要種や白山沼の生物多様性を保全するために必要な対策について議論する。