The 84th Annual Meeting of the Entomological Society of Japan・The 68th AEZ annual meeting

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[PS02] ポスター発表(学生B:コアタイム2)

Sat. Mar 30, 2024 12:30 PM - 1:30 PM Sakura (Student) (Sakura)

[PS02-86] 翅を見れば種と産地がわかる−石垣島産ニイニイゼミ属の翅脈形状比較と保全研究での適用−

◯Takeru Kodama Kodama1, Takeshi Sasaki2, Haruki Tatsuta3 (1. Sys. Life Sci. Kyushu Univ., 2. Ryukyu Univ. Mus., 3. Fac. Sci. Kyushu Univ.)

イシガキニイニイは、沖縄県石垣島北部の米原地区にのみ生息する絶滅危惧IA類のセミである。一方、近縁種のヤエヤマニイニイは石垣島、西表島に広く分布し、生息個体数も多い。両種は後翅の黒色斑紋の有無で判別可能だが、前翅形状にも種間差が存在するか否かについて、幾何学的形態測定法を用いて調べた。琉球大学博物館に所蔵されているイシガキニイニイの乾燥標本、および石垣市宮良、嵩田の2地点で捕獲したヤエヤマニイニイ標本を対象に、前翅を撮影した。画像中の翅脈の交点に設定した相同標識点をもとに、プロクラステス整列により標識点座標の基準化を施した後、種および地域個体群を単位とした正準変量分析(CVA)を実施した。その結果、イシガキニイニイとヤエヤマニイニイ両種間のみならず、ヤエヤマニイニイの地域個体群間でも前翅形状に有意な違いが確認された。これらの結果は種間だけでなく、ヤエヤマニイニイの地域個体群間にもある程度の遺伝的分化が存在する可能性を示唆している。また種や地域個体群の判別の際、遺伝解析などと比べ低コストかつ簡便な代替法として前翅形状の特徴を利用できると考えられる。