[PS02-93] 閉鎖型昆虫養殖施設におけるコオロギの成育予測シミュレーション
食用昆虫には、既存の肉類と比べて遜色ない栄養が含まれている。また、その養殖に係る設備投資は既存の畜産業よりも小さいため、栄養改善や小規模農家の所得向上を目的とした新産業として近年注目されている。他の農産物と同様に、食用昆虫の収量予測は、その生産および物流コストの削減に寄与すると考えられる。しかし、代表的な食用昆虫の一つであるコオロギでは、個体の体重増加はロジスティック曲線で推定できるが、飼育密度、気温および飼料などによって生存率、成長速度および成虫体重が変化するため、その収量予測には事前情報として飼育条件ごとの成長速度と成虫体重が必要である。また、コオロギの飼育密度の経時変化に加え、特に半閉鎖型昆虫養殖施設の場合、日内あるいは季節的な気温変動を加味した推定は困難である。そこで本研究では、飼育条件を入力し、閉鎖型昆虫養殖施設における物質およびエネルギー収支をもとに、コオロギの成長速度と成虫体重を出力する数理モデルを作成した。本モデルを昆虫養殖のシミュレーションに組み込み、エネルギー利用効率や環境負荷の予測、飼育条件の最適化など、閉鎖型昆虫養殖施設の運用に有用な知見を得ることを目指す。