[PS02-99] ダイズシストセンチュウの宿主認識を制御する受容体型グアニル酸シクラーゼ
ダイズシストセンチュウ(SCN)は宿主植物が生産、分泌する宿主由来物質に応答して根へと移動し、寄生する。宿主へ寄生できない場合餓死することから、宿主への誘引や寄生といった宿主認識行動は新たな防除標的と言える。しかし、SCNの宿主認識行動のメカニズムは未だ不明な点が多い。これまでに我々は、宿主認識を特異的に制御する遺伝子として受容体型グアニル酸シクラーゼrGCY-9dを同定した。SCNにはrGCY-9dの他に、rGCY-9a, rGCY-9b, rGCY-9cの3種類のrGCY-9遺伝子が保存されているものの、これらの機能は不明である。そこで本研究では、rGCY-9a, rGCY-9b, rGCY-9cに着目し、rGCY-9dと機能を比較した。RNAiにより作製した発現抑制体を用いて宿主根への誘引試験を行ったところ、rGCY-9d発現抑制体のみ根へと接触した頭数が有意に減少した。更に、硝酸イオンに対する化学走性や温度走性についても検討を行ったが、rGCY-9遺伝子群の発現抑制による影響は見られなかった。これらの結果から、rGCY-9遺伝子群においてはrGCY-9dが宿主認識に対する主要な制御遺伝子であることが示唆された。