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[SW-01] ツマジロクサヨトウが見せた長距離移動と飛来予測技術の開発
ツマジロクサヨトウが日本で初確認された翌年、2020年度から2022年度までイノベーション創出強化研究推進事業(JP007097)「ツマジロクサヨトウの効率的な発生予察技術と防除対策技術の開発」が実施され、発生予察手法の開発、生態や天敵の解明、防除対策について様々な成果が得られた。その内、本特別小集会では本種の移動生態、寄主作物と発生実態、防除対策技術について紹介する。この発表では移動生態と飛来予測技術について解説する。本種は長距離移動性を示すとされていたが、アジア地域の分布拡大の速度は想像以上で、2018年夏にインドで確認されて以降、2018年12月中旬には中国南西部に到達し、2019年5月上旬までに長江下流域一帯で幼虫が確認された。さらに2019年5月下旬から6月上旬に海を越えて日本や韓国に飛来したと推定されており、本種の移動能力が極めて高いことを示した。2019年の冬季からは中国南部で周年発生するようになり、日本では東アジアモンスーンが西日本に吹き始める5月から主な飛来が始まるようになった。またこうした飛来を予測するために、イネウンカ類の飛来予測モデルを基礎として、ヨトウの飛翔速度や飛来源地域の情報を組み込んだツマジロクサヨトウの飛来予測手法を開発したので紹介する。