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[W02-01] 実験室での進化により昆虫と自由生活性細菌との相利共生進化の入口を見つける
「昆虫の相利共生細菌は自由生活性の細菌から進化した」。共生研究の黎明期になされた洞察が、分子系統学や比較ゲノム解析により推定された進化経路を取り込み補強され、一般的に受け入れられるにいたった仮説である。ただ、その実証的研究は乏しく、また共生関係の進化のごく初期に何が起きたのか、言い換えると、いかなる要因が細菌に自由生活性から共生へと、その生活様式の変化を促したのかは全くの謎である。我々は、独自に開発したカメムシー大腸菌人工共生系の進化実験の成果として、大腸菌ゲノムに生じたたった一つの変異が宿主カメムシのパフォーマンスを大幅に改善しうることを示したが、本発表では、まずこの成果を概観する。そして、この研究では未同定のままであった共生細菌化に直接関与すると思われる実働遺伝子候補を報告し、自然界での共生進化においても、この候補遺伝子が重要な進化的意義を持っていたであろうことを考察する。