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[W03-04] 茨城県の促成トマト栽培におけるタバコカスミカメの導入事例
茨城県ではこれまでタバコカスミカメ(以下,タバカメ)を用いたコナジラミ類の防除体系の確立に取り組んでいる.抑制栽培では,定植直前のトマト苗にタバカメを放飼した結果,定植後に放飼する方法よりも栽培初期のタバカメの定着・増殖は早まった.その結果を受け,促成栽培の現地ほ場において,苗に放飼したタバカメによるコナジラミ類に対する防除効果を検討した.R4-5年作では7月上旬に黄化葉巻病耐病性品種を定植後,タバカメは順調に増殖し,作を通じ黄化葉巻病の蔓延もなく5月中旬までコナジラミ類密度を抑制した.R5-6年作では,耐病性品種を植栽したハウスと罹病性品種からなるハウス計2棟を用い試験を実施した.8月中旬以降にタバカメ密度とコナジラミ類密度が急増したが,両ハウスにおいて定期的な選択性殺虫剤の散布により,コナジラミ類の密度は安定した.しかし,前作とは異なり,9月以降に両ハウスにおいて黄化葉巻病罹病株数が増加した.今後の対策として,ハウス周辺の雑草管理と残渣処理の徹底に加え,粘着板トラップの設置,栽培初期の感染リスクが高い時には慣行防除を採用する等の防除戦略の転換が必要である.