18:30 〜 19:00
[W05-01] アフリカ害虫の微生物防除
多くのアフリカの国々では、農業・衛生・貯穀害虫の被害が甚大であるのに加え、化学殺虫剤へのアクセスが困難であったり、入手可能な殺虫剤に対する抵抗性の発達による難防除化が課題となっている。演者はこれまで、その代替・補完防除技術として昆虫寄生菌に着目して、アフリカで猛威を振るっている様々な害虫を対象に微生物防除研究を展開してきた。本講演では、衛生害虫のAnopheles stephensiおよびAedes aegypti、貯穀害虫のProstephanus truncatus、農業害虫のSpodoptera frugiperdaおよびOstrinia furnacalisを対象にした防除研究について紹介する。昆虫寄生菌は通常、経皮感染による殺虫効果を期待されているが、当研究室では、これらの害虫に対する昆虫寄生菌の摂食による経口感染について研究を進めている。「食べる」ことで昆虫寄生菌を取り込んだこれらの害虫は、消化管からの感染致死だけでなく、それ以前に様々な行動変化を引き起こすことが明らかとなり、経口経路からの防除効果も有効なアプローチであることが示された。加えて、現在ケニアのジョモケニヤッタ農工大学と進めている、ジャガイモのバリューチェーン研究にも触れたい。