日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

小集会

[W05] 第32回日本ICIPE協会研究報告会―アフリカ昆虫学の夕べ

2024年3月29日(金) 18:30 〜 20:00 E会場 (小会議室1)

世話人:足達太郎

19:00 〜 19:30

[W05-02] 西ケニアにおけるヤブカ属(カ科)幼虫発生源調査

◯二見 恭子1、Peter Lutial2、George Sonye3、Cassian Mwatele4、Sammy Njenga4、皆川 昇1 (1. 長大・熱研、2. CRTMCD、3. ASK、4. KEMRI)

ネッタイシマカやヒトスジシマカを含むヤブカ属は多様なウイルス感染症を媒介する。上記2種は世界的に広く分布し都市部で感染症の流行を引き起こしているが、同属種の中には他の霊長類を宿主とする森林サイクルを維持するとともに、サル−ヒト間でウイルスを運ぶブリッジベクターとなる種がいる。これらは都市部へ侵入したウイルスを森林サイクルへと定着させることもあり、感染症コントロールを困難にする。ケニアの地方都市では、ヤブカ属の種構成やそれらが好む環境は明らかになっていなかった。本研究では、西ケニアの4地点(ビタ、キスム、ウンゴイ、ファンガノ)において、2012−2014年に自然・人工容器からヤブカ属幼虫を採集し、発生源と種構成を解析した。178個の容器から12種のヤブカ属幼虫が採集され、そのうちの7種はウイルス媒介蚊であった。ネッタイシマカは葉腋以外のすべてのタイプの発生源を利用していた。他のシマカ亜属は自然容器から発生するとされていたが、タイヤやプラスチック容器からの発生も多く、種によっては効率的なブリッジベクターとなる可能性が示唆された。