The 84th Annual Meeting of the Entomological Society of Japan・The 68th AEZ annual meeting

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[W06] NBRPカイコにおける新規リソースの利活用-単為発生系統と倍数体系統

Fri. Mar 29, 2024 6:30 PM - 8:00 PM Site F (Meeting Room 2)

世話人:藤井告

6:55 PM - 7:15 PM

[W06-02] NBRPカイコの新規分譲開始4倍体系統のご紹介

◯Toshiaki Fujimoto1, Tsuguru Fujii1 (1. Kyushu Univ.)

NBRPカイコは、我々の所属する九州大学が中核機関を担っている。2023年度、廣川昌彦博士より、7系統の兄妹交配による継代が可能な4倍体系統が寄託された。この4倍体系統は、温湯処理による非還元型単為発生を利用し、作出された4倍体雌雄が起源とされる。カイコ4倍体は、温湯処理の他、低温処理や炭酸ガス処理などにより誘起される。これら4倍体は、通常雌には妊性が認められるが、雄は不妊である。しかし、寄託を受けた7系統は、雄も妊性を有し、兄妹交配が可能なため、安定して4倍体を維持できる稀有な系統である。子孫の雌雄比も一般的な2倍体同様約1対1である。我々は、寄託系統の例外的な特性を理解するため、6系統の起源にあたる「H23」系統の染色体解析とゲノムシーケンスを実行し、雄の性染色体構成がZZZ、常染色体の4倍性を確認した。残る6系統も情報整備を進め、倍数体カイコリソースの利用推進を目論んでいる。NBRPカイコでは、精子凍結による系統保存法を確立してきた。精子凍結では、妊性が極めて低下する系統があるものの、受精能力は、3倍数体精液(無核精子)を添加することで回復する。寄託4倍体に2倍体を交配すると約半数の3倍体雄が得られ、凍結精子の妊性回復への利活用が期待される。