日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

小集会

[W07] 第3回昆虫食マンダラ

2024年3月29日(金) 18:30 〜 20:00 G会場 (小会議室8)

世話人:鈴木丈詞、片岡孝介

18:30 〜 19:00

[W07-01] 無視できない虫の価値:シロアリの機能性研究とその展望

◯田﨑 英祐1 (1. 新潟大・理)

セルロースは地球上で最大のバイオマスである。しかし、ヒトを含む多くの動物はこの植物性多糖類を分解することができないため、その食料資源としての活用には未だ至っていない。驚異的な木材分解能力を有するシロアリは、この未利用バイオマスを動物が利用可能な資源へ変換するポテンシャルを持った昆虫である。家畜・家禽に対しても昆虫は主要な飼料として扱えることから、木材からシロアリへ資源変換することが無理無駄のない食料・飼料生産へ繋がると期待される。我々の研究グループは、シロアリを用いて“森・虫・家畜・食”を結ぶ革新的な食料生産システム“WILFood”(Woods-Insect-Livestock-Food)の実現を目指している。このシステムにおいて、シロアリを食べるということが家畜あるいはヒトの生体へどのような影響を及ぼすかについて知ることは重要である。当研究室では、シロアリの摂取が生物の寿命や老化表現型へあたえる影響について明らかにするため、キイロショウジョウバエを用いた寿命試験および代謝分析を進めてきた。本講演では、有用昆虫として期待されるシロアリの機能性についてこれまでに明らかになってきた知見を紹介するとともに、今後どのような研究を展開していくかについて議論したい。