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[W08-05] ゲノム編集生物に関する取扱いルールと利用手続き
ゲノム編集技術は基礎研究から応用分野まで広く利用されている。その実用化には、ゲノム編集技術で作出された生物の取扱いルールが整っている必要がある。国際的に取扱いルールが議論されているなか、日本では、2018年の「統合イノベーション戦略」において、ゲノム編集生物の取扱について明確化することが求められた。まず、環境省からカルタヘナ法において、厚生労働省からは食品衛生法におけるゲノム編集生物取扱いの基本的な見解として、遺伝子組換え生物としての規制対象にならない基本的な条件が示された。カルタヘナ法ではSDN1で作出された生物であって外来遺伝子を有しないことと生物多様性への悪影響が想定されないことであり、食品衛生法ではSDN1とSDN2の一部で外来遺伝子を有しないことと、変異導入により有害物質を産生しないことが確認されることである。なお、規制対象外になるか否かの判断は、商業利用等の前に監督官庁と事前相談し、規制対象外であればその情報を事前に届け出るものとしている。海外ではゲノム編集生物を遺伝子組換え生物として扱う方針の国もあるが、多くの国々では日本と同様に外来遺伝子を有しないゲノム編集生物を規制対象外としている。本講演では、食品衛生法に基づく申請について具体的な内容について紹介したい。