7:00 PM - 7:30 PM
[W09-02] モンシロチョウ属シロチョウにおける食草適応に関わる遺伝子の進化とその発現調節
植物とそれを利用する植食性昆虫の相互作用は、陸上生態系において重要な生物間相互作用の一つである。植食性昆虫は食草の保有する化学防御を解毒することで初めて植物を餌として利用できるが、多くの場合その解毒機構は未知である。モンシロチョウ属シロチョウ(以下シロチョウ)の幼虫はアブラナ科草本を餌として専食する。アブラナ科草本はグルコシノレート(GSL)と呼ばれる化学的に多様(>130 種)な二次代謝産物を防御物質として保有するが、シロチョウの幼虫は中腸でnitrile specifier protein (NSP)というタンパク質を発現しており、これがグルコシノレート防御の解毒に役立っていることが知られていた。
近年、ゲノム編集や全ゲノム解析によって、シロチョウの幼虫はNSPだけでなくNSPに近縁なMajor allergen (MA)という2つ目のGSL解毒酵素をもち、NSPとMAを食草のGSL組成に応じて使い分けることで幅広いアブラナ科草本を餌として利用していることがわかってきた。本講演ではこれらの新たな知見を紹介しつつ、非モデル生物である昆虫の研究において、現在利用可能となってきたゲノム編集や全ゲノム解析等のアプローチについても紹介したい。
近年、ゲノム編集や全ゲノム解析によって、シロチョウの幼虫はNSPだけでなくNSPに近縁なMajor allergen (MA)という2つ目のGSL解毒酵素をもち、NSPとMAを食草のGSL組成に応じて使い分けることで幅広いアブラナ科草本を餌として利用していることがわかってきた。本講演ではこれらの新たな知見を紹介しつつ、非モデル生物である昆虫の研究において、現在利用可能となってきたゲノム編集や全ゲノム解析等のアプローチについても紹介したい。