[W11] 生物振動学:基質振動と非接触振動によるコナジラミ類の行動制御と防除

[W11-01] 基質振動によるタバココナジラミ防除の最前線：トマトの安定栽培技術の実用化に向けて

◯Ryuhei Yanagisawa¹, Shotaro Uehara¹, Ryuichi Suwa², Takuma Takanashi³, Haruki Tatsuta¹ (1. Kyushu University, 2. University of the Ryukyus, 3. FFPRI)

これまで演者らはトマト栽培で問題となっているタバココナジラミに対し、振動を用いた防除の研究を実施してきた。振動発生装置から金属パイプやワイヤ等のハウス資材を介して植物体に振動を与えることにより、タバココナジラミの幼虫および成虫が有意に減少した。次に振動が植物体の生育や果実収量、果実の品質（糖度・酸度）に悪影響を及ぼさないか検証した結果、果実収量は有意に増加し、植物体の生育や果実の品質に変化は見られなかった。また現在、演者らは振動によるタバココナジラミの密度低下の至近要因を探るため、タバココナジラミの交尾・産卵へ与える振動の影響を精査している。タバココナジラミの未交尾成虫の雌雄を植物の葉に設置したクリップケージ内に一定時間閉じ込めて振動を与えたところ、１メスあたりの産卵数は対照区と比べて振動区で有意に減少した。このことから基質振動はコナジラミの産卵を抑制する効果を持つことが初めて示された。
　本講演では振動技術を取り入れたトマトの安定栽培技術の実用化に向け、これまでに演者らが取り組んできた研究成果を紹介し、実用化への課題と今後の展望について議論したい。