[W11] 生物振動学:基質振動と非接触振動によるコナジラミ類の行動制御と防除

[W11-03] 集束超音波による非接触振動と黄色粘着板を用いたコナジラミ類防除機の開発
―天敵タバコカスミカメによる防除の補完効果―

◯Chihiro Urairi¹, Takayuki Hoshi² (1. NARO, 2. Pixie Dust Technologies, Inc.)

2022年度までのイノベーション創出強化研究推進事業において、植物からコナジラミ類を追い出すための非接触振動を与えられる超音波集束装置、追い出した虫を誘引回収するための吸引機（LED併用）からなる害虫防除機を開発した。本機を週6回稼働させるとコナジラミ類の密度抑制効果が認められ、天敵タバコカスミカメ（以下、天敵）の併用により防除効果が向上した。しかし吸引機の消費電力が大きく、長時間稼働させると電力費が問題となるため、本機の省エネルギー化を目的として、誘引回収を黄色粘着板で代替可能かを検討した。トマトを栽培した温室内にタバココナジラミを放虫し、密度抑制効果を4条件（代替機と天敵併用、天敵のみ、代替機のみ、無処理）で比較した。代替機を週 12 回（1回あたり10 秒/株）稼働し、天敵を計4回放虫し、 9～11月にトマト葉上のコナジラミ類密度を週1回調査したところ、天敵または代替機によるコナジラミ類の密度抑制効果は認められたものの、両者の相乗効果は認められなかった。天敵導入下でのコナジラミ類の密度抑制効果は、代替機を併用した場合に高かった。また、コナジラミ類の低密度時モニタリング性能をLED併用の吸引防除機と代替機との間で比較したところ、両者に差はなく、黄色粘着板による代替が可能であった。