日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

小集会

[W12] 昆虫免疫夜話VII

2024年3月30日(土) 18:30 〜 20:00 E会場 (小会議室1)

世話人:芳山三喜雄、古川誠一

18:30 〜 19:00

[W12-01] ミツバチにおける腸内細菌の免疫機能への関与

◯鈴木 亮彦1 (1. 国立環境研究所・生物多様性領域)

一般に昆虫の外敵への防御機構としては,第一の障壁としての外骨格,第二に貪食や包囲化など主に血球による細胞性免疫と抗菌ペプチド産生に代表される液性免疫がある.これらに加え,高度な社会性昆虫であるミツバチは,グルーミングや,罹患個体・死体捨て行動などの社会性免疫も駆使しコロニー内での感染症拡散のリスクを抑えている.発表者は現在,ミツバチの共生微生物,特に腸内細菌に注目して研究を行っている.先行研究では,ミツバチ腸内細菌が宿主の免疫関連遺伝子の発現促進に寄与していること,腸内細菌自身がミツバチ病原体に抗菌活性を示すこと,また,植物由来の毒素分解に寄与していることなどが報告されており,ミツバチ自身の力のみならず,腸内細菌がミツバチの免疫機能において不可欠であることが明らかとなっている.本講演では,ミツバチの腸内細菌の宿主の免疫機構への関与および病源体排除能を中心に,外部環境からの病源体抵抗因子の獲得などの先行研究も併せて紹介しながら,現在発表者が着手しているテーマと今後の課題について議論したい.