The 84th Annual Meeting of the Entomological Society of Japan・The 68th AEZ annual meeting

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[W12] 昆虫免疫夜話VII

Sat. Mar 30, 2024 6:30 PM - 8:00 PM Site E (Meeting Room 1)

世話人:芳山三喜雄、古川誠一

7:00 PM - 7:30 PM

[W12-02] カリヤコマユバチ幼虫の表皮を覆う漿膜細胞とテラトサイトによる寄主の包囲化作用の抑制について

◯Yuki Okumura1, Tomomi Sawa1, Toshiharu Tanaka2, Yutaka Nakamatsu1 (1. Kogakkan university, 2. Nagoya university)

カリヤコマユバチCotesia kariyai(Ck)卵の漿膜細胞は、孵化後約半数がテラトサイト(Tc)として寄主の体腔中に放出され、残りの約半数はCk1齢幼虫の表皮を完全に覆う(1st Sc)。Tcは、コマユバチ科の寄生蜂において寄主のメラニン化や包囲化作用の抑制に寄与することが報告されている。一方、1st Scは、寄主のプラズマ細胞の接着および仮足の伸展を阻害して包囲化作用を抑制する。また、1st Scは、Ck幼虫が2齢に脱皮する時期に幼虫表皮から剥離してアポトーシスを起こすが、同時期にTcはサイズが最大となり、寄主の免疫抑制タンパクなどの分泌量が増加する。このことから漿膜由来の2種の細胞は、時間差で寄主の免疫を抑制している可能性がある。そこで1st ScとCk幼虫が1齢の時期のTc(1st Tc)、2齢の時期のTc(2nd Tc)それぞれの寄主の包囲化作用に対する抑制能力を比較した。その結果、1st Scと2nd Tcは寄主の包囲化作用を抑制したが、1st Tcは、ほとんと抑制しなかった。このことから、Ckは1齢幼虫の時期には1st Scによって寄主の包囲化作用を抑制し、脱皮後は2nd Tcが寄主の包囲化作用を抑制すると考えられる。