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[W12-03] 寄主免疫の異物認識を制御するカリヤコマユバチのC型レクチンについて
カリヤコマユバチ(Ck)はアワヨトウ幼虫を寄主とする内部捕食性多寄生蜂で、寄主の免疫反応からCk卵や幼虫を守るため、寄主体内の環境を制御する毒液とポリドナウイルス(PDV)を卵とともに注入する。PDVは寄主の血球や脂肪体に侵入し、異物認識に関わるC型レクチンであるCky811を発現する。一方、寄主の異物認識にはC型レクチンMy-IMLが関与することが知られている。寄生蜂の幼虫など大きな異物に対してはMy-IMLが認識した後にHyper Spread Cell(HSC)という血球が接着し、メラニン形成のための足場を形成することが分かっている。Ckの毒液とPDVを人工的に注入した際の寄主血球を調べたところ、注入後の経過時間に伴いHSCの異物への接着数が減少した。また、Ckの毒液とPDVを注入した寄主血球におけるCky811の発現量を定量したところ、注入後6時間でピークとなりMy-IMLは注入直後から6時間にかけて減少した。更に、抗Cky811抗体を用いた阻害実験の結果、抗Cky811抗体の添加によりHSCの接着数が増加した。このことから、Ckは寄主の血球でCky811を発現させ、寄主のC型レクチンであるMy-IMLの反応を抑えることにより、寄主の免疫を制御することが示唆された。