The 84th Annual Meeting of the Entomological Society of Japan・The 68th AEZ annual meeting

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Workshops

[W13] 第25回昆虫の季節適応談話会

Sat. Mar 30, 2024 6:30 PM - 8:00 PM Site F (Meeting Room 2)

世話人:田中一裕、後藤慎介

7:30 PM - 8:00 PM

[W13-03] ゴマダラカミキリの生活史の季節と気候への適応

◯Morio Higaki1 (1. Institute for Plant Protection)

ゴマダラカミキリには幼虫期間の違いにより生じる1年型と2年型の2つの生活史型が知られているが、分布が亜熱帯~冷温帯と広いため、異なる生活史型が存在する可能性がある。また、成虫の寿命が長く繁殖期間が長いことから、ふ化時期の早晩が生活史に影響を与える可能性もある。本研究では、鹿児島県徳之島町(亜熱帯)、静岡県静岡市(暖温帯)、福島県白河市(冷温帯)の3系統について、様々な時期にふ化した幼虫をそれぞれの生息地の温度の季節変化を再現した恒温器で飼育し、羽化までに要する期間と成虫の体サイズを調べた。その結果、本種の生活史には地理的変異が存在し、徳之島では非休眠型~2年型、静岡では1年型と2年型、白河では1年型~3年型がみられ、寒い地域ほど幼虫期間が長くなった。地理的変異は成虫体サイズにもみられ、徳之島>静岡>白河の順で寒い地域ほど小さくなった。本種の生活史はふ化時期の早晩によっても変化し、静岡と白河の系統では、ふ化が早いと1年型、遅いと2年型になった。成虫体サイズは、2年型の方が1年型よりも大きく、また、同じ1年型でもふ化が遅いほど小さくなった。本種は温度の季節変化や地理的勾配に対して、幼虫期間や成虫体サイズを遺伝要因および環境要因により柔軟に変化させて、生活史を適応させている。