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[W18-04] カイガラムシ–アリ共生系の生態学
カイガラムシ類が体外に分泌する甘露は豊富な糖分を含み、多くのアリ類にとって重要な餌資源となる。アリ類には、この甘露を確保すべくカイガラムシに常に随伴し、カイガラムシに接近する天敵などの侵入者を排除する行動を示すものが数多く知られている。カイガラムシが甘露を餌にアリを誘引して随伴させ、随伴したアリがカイガラムシの被食防衛を担うという相利共生系は、世界中の陸上生態系に遍く見られ、多様なアリとカイガラムシが関与している。分類群の多様性に加え、共生関係の特性には多様な変異が見られるほか、この系に連なるカイガラムシの天敵や寄主植物との種間関係や、共生アリ類と他の生物との相互作用にも、時間的空間的な変異に飛んだ影響を与えていることが知られている。このように、カイガラムシ–アリ間の相利共生系は進化生態学的にも群集生態学的にも非常に重要で興味深い研究対象である。これまで演者は、温帯から熱帯に至るいくつかの調査地において、カイガラムシ–アリ共生系に着目し、その進化生態や両者の個体群成長に与える影響、さらには、この共生系に連なるさまざまな種間関係への間接効果などについて、多くの共同研究者と共に研究してきた。本講演では、それらの研究の成果を紹介し、今後の展開について議論する。