日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

小集会

[W20] ミツバチ分子生物学の現在地

2024年3月31日(日) 17:00 〜 18:30 F会場 (小会議室2)

世話人:宇賀神篤

17:25 〜 17:45

[W20-02] ゲノム編集ミツバチの作出による成虫脳選択的に発現する遺伝子の機能解析

◯河野 大輝1 (1. 東京大院・理)

セイヨウミツバチ(Apis mellifera)は高度な社会性行動を示すことから、その行動を司る脳の分子神経基盤が古くから研究されてきた。私達は、ミツバチ脳の高次中枢であるキノコ体に着目し、その構成細胞であるケニヨン細胞が異なる遺伝子発現プロファイルをもつサブタイプに分かれることを示し、各サブタイプが異なる行動制御を担う可能性を提示してきた。しかし、ミツバチにおける有効な遺伝子操作法が近年まで限られていたことから、ミツバチの行動を司る脳基盤はほとんどが未解明である。私はこれまでに、ミツバチにおけるゲノム編集法の確立と、作出したノックアウト個体を用いた遺伝子機能解析を進めてきた。本発表では、ミツバチの成虫脳選択的に発現し、脳内では主に視葉とキノコ体の「中間型」ケニヨン細胞に発現するmKastのノックアウト働き蜂の作出、および視葉とキノコ体における機能に着目した機能解析の結果を報告する。これらを通し、ミツバチにおける遺伝子操作の現状を共有すると共に、今後ミツバチの社会性行動の脳基盤を解き明かす上での課題と展望を議論したい。