日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

小集会

[W20] ミツバチ分子生物学の現在地

2024年3月31日(日) 17:00 〜 18:30 F会場 (小会議室2)

世話人:宇賀神篤

18:05 〜 18:30

[W20-04] ミツバチで検出される2種のFrischella属腸内細菌の、宿主との共生能力

◯末次 翔太1 (1. 福岡大・理)

腸内細菌は、宿主動物の食物消化や免疫などの多様な生理機能に影響する。腸内細菌叢が宿主と形成する関係性やその進化に関する研究はこれまでにも行われてきたが、詳細は十分に明らかになっていない。ミツバチは腸内細菌叢の研究が盛んに行われている昆虫の1つであり、特定の細菌を保有する個体を人為的に作出できるため、宿主と腸内細菌の関係を実験的に研究する上で有用である。本発表ではそうした研究の1例を紹介する。
Frischella属細菌はミツバチに固有な腸内細菌である。中でもF. perraraはセイヨウミツバチの腸に定着し、免疫応答を引き起こす。F. perraraのこうした作用の分子機構は知られつつあるが、他種Frischellaの知見が乏しいため、Frischella属細菌がいかにしてミツバチと共生するようになったかはよく分かっていない。本研究では、近年ニホンミツバチから単離された新規Frischella属細菌を用い、各種Frischellaとセイヨウミツバチ・ニホンミツバチの関係をより詳細に解明することを目指した。ミツバチにおける各種細菌の存在量や定着能力を分子生物学や細菌学の手法を用いて解析した結果、近縁であるにも関わらず細菌種間で宿主との共生能力が全く異なることが明らかになった。