第33回大阪府理学療法学術大会

講演情報

Webポスター

[P-12] 研究報告①(運動器)P-12

2021年7月11日(日) 08:45 〜 15:30 Web Poster:P-12 (webポスター会場)

座長:堀口 達也(整形外科なかむらクリニック)

[P-12-01] ARCR後6ヵ月の自動挙上角度に影響を及ぼす因子の検討と術後3ヵ月における目標可動域の設定

*堀田 旭1,2、井上 大輔1、神崎 祐介1、宇多 宇恵一郎1、馬谷 直樹3、恵飛須 俊彦1,2 (1. 関西電力病院リハビリテーション部、2. 関西電力医学研究所、3. 関西電力病院 整形外科)

【背景と目的】鏡視下腱板修復術(以下、ARCR)後の理学療法においては、肩関節の十分な自動挙上角度の獲得が肝要である。挙上角度について、ADLでは150°以上が必要とされ、JOAスコアでも150°以上が最も高いスコアと設定されている。つまり、ARCR後の自動挙上角度は150°以上を目標とするべきである。また、先行研究では術後3ヵ月時点の肩関節他動ROMは2年後の挙上角度に影響を与えると報告されている。しかし、ARCR後の短期(術後6ヵ月)成績において150°以上の自動挙上角度を得る為に必要な、術後3ヵ月時点での肩関節他動ROMとその目標値について検証した報告はない。
【方法】対象は2017年4月~2021年3月の期間に当院整形外科に入院し理学療法の処方があった腱板断裂患者のうち、ARCRを施行された者とした。除外基準は術後6ヵ月時点にて下記肩関節他動ROM測定を実施出来ていなかった者とした。患者背景として年齢、性別、BMI、糖尿病の有無、断裂部位とサイズ、GFDIを調査した。また、術後6ヵ月時点における自動挙上角度を診療録より後方視的に調査し、150°以上の自動挙上の可否をもって2群に分けた。さらに、3ヵ月時点での肩関節他動ROMとして挙上、外転、1st外旋、2nd外旋、内旋、3rd内旋、水平内転角度を後方視的に調査した。統計解析は患者背景や3ヵ月時点での肩関節他動ROMを独立変数、術後6ヵ月時点における150°以上の自動挙上の可否を従属変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った。変数選択法はステップワイズ法を使用した。上記検討によって選択された肩関節他動ROMに関して、ROC曲線を用いてcut-off値を求めた。全ての統計解析はSPSS Version26を用いて行い、有意水準を5%とした。
【結果】本研究における対象はARCRを施行された183名のうち、除外基準に該当した者を除く62名62肩(男性34肩、女性28肩)とした。各指標の平均値は年齢64.3±10.3歳、BMI25.3±4.3kg/m2、術後6ヵ月時点の自動挙上角度は153.6±14.7°であった。術後6ヵ月時点での自動挙上角度を従属変数とした多重ロジスティック回帰分析では、選択された因子は2nd外旋(p<0.01)、年齢(p<0.01)であった。判別的中率は83.9%であった。オッズ比は2nd外旋(1°毎)で1.14(95%CI=1.06-1.23)であった。また、術後6ヵ月時点での自動挙上角度を状態変数とした2nd外旋のROC曲線によるcut off値は67.5°であった。このROC曲線のAUCは78.7であった。
【結論】ARCR後の短期成績において150°以上の自動挙上角度を得るためには、術後3ヵ月時点の他動ROMにおいて2nd外旋が67.5°に到達している必要がある。
【倫理的配慮、説明と同意】本発表に際し関西電力病院倫理審査委員会の承認を得た。

要旨・抄録、PDFの閲覧には参加者用アカウントでのログインが必要です。参加者ログイン後に閲覧・ダウンロードできます。
» 参加者用ログイン