[P-12-03] ACL損傷膝における内側広筋の萎縮について–CTを用いた筋量測定と妥当性の検討–
【背景と目的】
膝前十字靭帯(ACL)損傷膝は、大腿四頭筋の筋力低下や筋萎縮を来し、特に内側広筋(VM)の機能不全は、ACL再建術後のリハビリを行う上で問題になることが多い。筋萎縮については近年、超音波画像を用いた報告が散見されるが、多くは大腿直筋や中間広筋の測定である。VMについては、超音波診断装置による測定が困難であるため報告は少なく、ACL損傷膝のVMの筋萎縮量については不明である。
そこで、本研究の目的はコンピュータ断層撮影(CT)を用いたVMの筋断面積(CSA)測定により、ACL損傷膝におけるVMの筋萎縮について調査することとし、加えて、CTによる評価の妥当性について検討するため、CSAと筋力の関係性についても調査を行った。
【方法】
2019年1月〜2020年1月の間に当院整形外科にてACL損傷の診断を受けた症例のうち、大腿部のCT撮影及び膝関節伸展筋力を測定した12例(平均24.8±11.7歳、男性9例、女性3例、受傷から測定までの期間:平均209.3±351.7日)を対象とした。VM CSAは、CTで撮影したデータを基に3次元画像解析システムSynapse VINCENT(富士フイルムメディカル株式会社)を用いて測定した。測定位置は膝蓋骨上縁から近位5㎝とした。膝伸展筋力は、等速性筋力測定装置(サイベックスノルムCN77)にて角速度60deg/secの条件で測定し、ピークトルク値(Nm)及び、最大仕事量(J)を算出した。統計処理は各項目について患側と健側の比較のため対応のあるt検定を用いた。またVM CSAと膝伸展筋力ピークトルク、仕事量との相関を調べるためPearsonの相関係数を用いた。有意水準は5%未満とした。
【結果】
VM CSAは患側2310.7±429.6㎠、健側2622.2±443.5㎠で、患側が有意に減少していた(p<0.01)。膝伸展筋力のピークトルクは、患側172.7±44.2Nm、健側229.7±46.8Nm、最大仕事量は、患側207.1±53.6 J、健側278.6±59.3 Jであり、いずれも患側が有意に低下していた(p<0.01)。患側のVM CSAは、膝伸展筋力のピークトルク(r=0.74、p<0.01)、最大仕事量(r=0.76、p<0.01)のいずれとも有意な相関を認めた。
【結論】
今回CTを用いたCSAの測定により、ACL損傷膝のにおけるVMの筋萎縮の調査を行い、その妥当性について検討した。VM CSAは、患側で有意に低下しており、ACL損傷膝ではVMが萎縮する傾向にあることがわかった。また、VM CSAと膝伸展筋力に有意な相関を認めたことから、CTを用いたVMのCSA測定は筋量測定として妥当性のある評価であると示唆された。今後、ACL損傷後のVM筋萎縮に対する効果的な介入方法の検証が必要である。
【倫理的配慮、説明と同意】
ヘルシンキ宣言に基づき、目的と個人情報の取り扱いについて説明を行い文書にて同意を得た。本研究は当院倫理委員会の承認を得て実施した。
膝前十字靭帯(ACL)損傷膝は、大腿四頭筋の筋力低下や筋萎縮を来し、特に内側広筋(VM)の機能不全は、ACL再建術後のリハビリを行う上で問題になることが多い。筋萎縮については近年、超音波画像を用いた報告が散見されるが、多くは大腿直筋や中間広筋の測定である。VMについては、超音波診断装置による測定が困難であるため報告は少なく、ACL損傷膝のVMの筋萎縮量については不明である。
そこで、本研究の目的はコンピュータ断層撮影(CT)を用いたVMの筋断面積(CSA)測定により、ACL損傷膝におけるVMの筋萎縮について調査することとし、加えて、CTによる評価の妥当性について検討するため、CSAと筋力の関係性についても調査を行った。
【方法】
2019年1月〜2020年1月の間に当院整形外科にてACL損傷の診断を受けた症例のうち、大腿部のCT撮影及び膝関節伸展筋力を測定した12例(平均24.8±11.7歳、男性9例、女性3例、受傷から測定までの期間:平均209.3±351.7日)を対象とした。VM CSAは、CTで撮影したデータを基に3次元画像解析システムSynapse VINCENT(富士フイルムメディカル株式会社)を用いて測定した。測定位置は膝蓋骨上縁から近位5㎝とした。膝伸展筋力は、等速性筋力測定装置(サイベックスノルムCN77)にて角速度60deg/secの条件で測定し、ピークトルク値(Nm)及び、最大仕事量(J)を算出した。統計処理は各項目について患側と健側の比較のため対応のあるt検定を用いた。またVM CSAと膝伸展筋力ピークトルク、仕事量との相関を調べるためPearsonの相関係数を用いた。有意水準は5%未満とした。
【結果】
VM CSAは患側2310.7±429.6㎠、健側2622.2±443.5㎠で、患側が有意に減少していた(p<0.01)。膝伸展筋力のピークトルクは、患側172.7±44.2Nm、健側229.7±46.8Nm、最大仕事量は、患側207.1±53.6 J、健側278.6±59.3 Jであり、いずれも患側が有意に低下していた(p<0.01)。患側のVM CSAは、膝伸展筋力のピークトルク(r=0.74、p<0.01)、最大仕事量(r=0.76、p<0.01)のいずれとも有意な相関を認めた。
【結論】
今回CTを用いたCSAの測定により、ACL損傷膝のにおけるVMの筋萎縮の調査を行い、その妥当性について検討した。VM CSAは、患側で有意に低下しており、ACL損傷膝ではVMが萎縮する傾向にあることがわかった。また、VM CSAと膝伸展筋力に有意な相関を認めたことから、CTを用いたVMのCSA測定は筋量測定として妥当性のある評価であると示唆された。今後、ACL損傷後のVM筋萎縮に対する効果的な介入方法の検証が必要である。
【倫理的配慮、説明と同意】
ヘルシンキ宣言に基づき、目的と個人情報の取り扱いについて説明を行い文書にて同意を得た。本研究は当院倫理委員会の承認を得て実施した。
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