[P-4-04] 腰痛により屋外歩行が困難となったパーキンソン病患者に対し姿勢制御に着目した一症例
【症例紹介】
13年前にパーキンソン病(以下、PD)と診断された70歳代女性。2ヶ月前より前傾姿勢が顕著となり、疼痛が増悪し屋外歩行が困難となった為、当院入院となった。入院時はHoehn and Yahr ScaleⅢ、FIMは105/126点。歩行は屋内見守り、歩行能力は速度1.0(m/s)、歩幅45(㎝)、歩行率117(step/min)であった。MRIでの精査により、変形性腰椎症(以下、腰椎OA)を認めた。腰痛の原因を腰椎OAとバランス能力低下と考え、姿勢制御に着目し介入した結果、自宅近隣の屋外歩行を獲得した症例を経験したため報告する。
【評価とリーズニング】
入院期間は35日。初期評価を第10病日、最終評価は第28病日。評価項目は疼痛(Numeric Rating Scale以下NRS)、関節可動域(以下、ROM)、徒手筋力検査法(以下、MMT)、バランス(Berg Balance Scale以下、BBS、Mini-Balance Evaluation Systems Test以下、Mini-BESTest)、歩行距離(6分間歩行以下、6MW)とした。初期評価は歩行時NRS7、ROMは体幹屈曲35°伸展−30°、MMTは体幹屈曲・伸展・回旋ともに5、BBS51/56点、Mini-BESTest20/28点(減点:予測的及び反応的姿勢制御、動的歩行)、6MWは205m。6MW実施時に強い腰痛を訴えていた。腰痛の生じる要因として、腰椎OAに加えて、予測的及び反応的姿勢制御能力低下と考えた。治療目標は連続歩行距離の増加とし、腰痛軽減及び体幹可動性の改善と姿勢制御能力向上を図った。
【介入と結果】
通常の理学療法としてROM改善と筋力維持を行った。加えて、予測的姿勢制御改善を目的として、回旋運動をとり入れたリーチ課題、反応的姿勢制御改善を目的に運動変化をつけたステップ課題などを行った。最終評価は歩行時NRS3、ROMは体幹屈曲40°伸展−20°、体幹のMMTは5、BBS54/56点、Mini-BESTest23/28点(改善:反応的姿勢制御、動的歩行)、6MWは260mであった。
【結論】
岡本ら(2014)はPD患者のバランス障害は静止立位、外乱負荷に対する反応的姿勢制御、随意運動に先行する予測的姿制御、動的姿勢制御が主要であると報告している。腰椎OAによる疼痛について、坂光ら(2007)は脊柱後弯の増強によりバランス能力、歩行能力の低下が生じ、特に持久性の歩行能力に影響を与えると報告している。本症例においては体幹伸展可動性に加えて反応的姿勢制御能力が向上し、腰痛の軽減も得られた。上記のことから、姿勢制御能力の低下により腰痛を呈した症例に対しては、可動域の改善に加えて反応的姿勢制御能力が重要であると示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
本報告は当院の倫理委員会の承認を得た(承認番号:434)。また、症例には本報告ついて口頭にて十分に説明し同意を得た。
13年前にパーキンソン病(以下、PD)と診断された70歳代女性。2ヶ月前より前傾姿勢が顕著となり、疼痛が増悪し屋外歩行が困難となった為、当院入院となった。入院時はHoehn and Yahr ScaleⅢ、FIMは105/126点。歩行は屋内見守り、歩行能力は速度1.0(m/s)、歩幅45(㎝)、歩行率117(step/min)であった。MRIでの精査により、変形性腰椎症(以下、腰椎OA)を認めた。腰痛の原因を腰椎OAとバランス能力低下と考え、姿勢制御に着目し介入した結果、自宅近隣の屋外歩行を獲得した症例を経験したため報告する。
【評価とリーズニング】
入院期間は35日。初期評価を第10病日、最終評価は第28病日。評価項目は疼痛(Numeric Rating Scale以下NRS)、関節可動域(以下、ROM)、徒手筋力検査法(以下、MMT)、バランス(Berg Balance Scale以下、BBS、Mini-Balance Evaluation Systems Test以下、Mini-BESTest)、歩行距離(6分間歩行以下、6MW)とした。初期評価は歩行時NRS7、ROMは体幹屈曲35°伸展−30°、MMTは体幹屈曲・伸展・回旋ともに5、BBS51/56点、Mini-BESTest20/28点(減点:予測的及び反応的姿勢制御、動的歩行)、6MWは205m。6MW実施時に強い腰痛を訴えていた。腰痛の生じる要因として、腰椎OAに加えて、予測的及び反応的姿勢制御能力低下と考えた。治療目標は連続歩行距離の増加とし、腰痛軽減及び体幹可動性の改善と姿勢制御能力向上を図った。
【介入と結果】
通常の理学療法としてROM改善と筋力維持を行った。加えて、予測的姿勢制御改善を目的として、回旋運動をとり入れたリーチ課題、反応的姿勢制御改善を目的に運動変化をつけたステップ課題などを行った。最終評価は歩行時NRS3、ROMは体幹屈曲40°伸展−20°、体幹のMMTは5、BBS54/56点、Mini-BESTest23/28点(改善:反応的姿勢制御、動的歩行)、6MWは260mであった。
【結論】
岡本ら(2014)はPD患者のバランス障害は静止立位、外乱負荷に対する反応的姿勢制御、随意運動に先行する予測的姿制御、動的姿勢制御が主要であると報告している。腰椎OAによる疼痛について、坂光ら(2007)は脊柱後弯の増強によりバランス能力、歩行能力の低下が生じ、特に持久性の歩行能力に影響を与えると報告している。本症例においては体幹伸展可動性に加えて反応的姿勢制御能力が向上し、腰痛の軽減も得られた。上記のことから、姿勢制御能力の低下により腰痛を呈した症例に対しては、可動域の改善に加えて反応的姿勢制御能力が重要であると示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
本報告は当院の倫理委員会の承認を得た(承認番号:434)。また、症例には本報告ついて口頭にて十分に説明し同意を得た。
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