12:35 〜 12:45
[O-02-1] 同側大腿骨三重骨折1例に対する観血的骨接合術後の理学療法経験
キーワード:大腿骨複合骨折、同側大腿骨三重骨折
【症例紹介】
40歳代男性、職業は自動車整備士。モトクロス走行中、ジャンプ後の着地時に転倒し受傷。単純X線画像検査で左大腿骨転子下骨折、左大腿骨骨幹部開放骨折(Gustiro typeⅡ)および左大腿骨顆上骨折を認め、左同側大腿骨三重骨折(青柳分類GⅣ)と診断された。
【評価とリーズニング】
大腿骨複合骨折は交通事故や労災事故など、高度な外力によって起こることが多い。大腿骨複合骨折には青柳分類が用いられ、GⅠは骨幹部骨折に頚部骨折/転子部骨折合併で5~6%、GⅡは骨幹部骨折に顆部骨折合併で3.4~4%、GⅢは頚部骨折/転子部骨折に顆部骨折合併、GⅣは頚部/転子部、骨幹部、顆部の三重骨折であり、本邦と海外文献で7例のみであったと報告されている今回、大腿骨複合骨折において稀な同側大腿骨三重骨折1例の理学療法を経験したので、経過ならびに治療成績を報告する。受傷後5日目、左大腿骨転子下骨折、左大腿骨骨幹部開放骨折に対して観血的骨接合術施行、受傷後6日目、左下肢オルソグラス固定下で他動的ROM練習を開始した。受傷後19日目、左大腿骨顆上骨折に対して観血的骨接合術施行、受傷後20日目、左下肢オルソグラス固定が除去された。ROMは股関節屈曲90度、外旋25度、膝関節屈曲40度、伸展-10度、同日ストレッチングならびに自動介助的ROM練習などを開始した。
【介入と結果】
受傷後6週目、ROMは股関節屈曲120度、外旋50度、膝関節屈曲120度であった。受傷後8週目、ROMは膝関節屈曲140度、伸展0度、膝関節伸展不全25度、左下肢筋力MMT3であった。左下肢1/3荷重で松葉杖歩行練習を開始した。受傷後10週目、ROMは膝関節屈曲150度、膝関節伸展不全15度、左下肢筋力MMT4であった。受傷後12週目、ROMは膝関節屈曲155度(深屈曲可能)、膝関節伸展不全5度、受傷後13週目、左下肢1/2荷重で松葉杖歩行練習を開始した。受傷後14週目、膝関節伸展不全0度であった。受傷後18週目、左下肢全荷重で杖および独歩での歩行練習を開始した。受傷後21週目(最終評価)、股関節屈曲120度、外旋50度、膝関節屈曲155度、伸展0度、膝関節伸展不全0度、左下肢筋力MMT4、棘下長87cm/87.5cm、転子果長81.5cm/82.0cmであった。独歩自立、左立脚中期にトレンデレンブルグ徴候、長距離歩行で左大腿外側に軽度疼痛が残存した。理学療法終了時の治療成績はKarlstromの評価基準でGoodであった。受傷後23週目、職業復帰に至った。
【結論】
同側大腿骨三重骨折1例に対する観血的骨接合術後の理学療法を経験し、治療成績は概ね良好であった。
40歳代男性、職業は自動車整備士。モトクロス走行中、ジャンプ後の着地時に転倒し受傷。単純X線画像検査で左大腿骨転子下骨折、左大腿骨骨幹部開放骨折(Gustiro typeⅡ)および左大腿骨顆上骨折を認め、左同側大腿骨三重骨折(青柳分類GⅣ)と診断された。
【評価とリーズニング】
大腿骨複合骨折は交通事故や労災事故など、高度な外力によって起こることが多い。大腿骨複合骨折には青柳分類が用いられ、GⅠは骨幹部骨折に頚部骨折/転子部骨折合併で5~6%、GⅡは骨幹部骨折に顆部骨折合併で3.4~4%、GⅢは頚部骨折/転子部骨折に顆部骨折合併、GⅣは頚部/転子部、骨幹部、顆部の三重骨折であり、本邦と海外文献で7例のみであったと報告されている今回、大腿骨複合骨折において稀な同側大腿骨三重骨折1例の理学療法を経験したので、経過ならびに治療成績を報告する。受傷後5日目、左大腿骨転子下骨折、左大腿骨骨幹部開放骨折に対して観血的骨接合術施行、受傷後6日目、左下肢オルソグラス固定下で他動的ROM練習を開始した。受傷後19日目、左大腿骨顆上骨折に対して観血的骨接合術施行、受傷後20日目、左下肢オルソグラス固定が除去された。ROMは股関節屈曲90度、外旋25度、膝関節屈曲40度、伸展-10度、同日ストレッチングならびに自動介助的ROM練習などを開始した。
【介入と結果】
受傷後6週目、ROMは股関節屈曲120度、外旋50度、膝関節屈曲120度であった。受傷後8週目、ROMは膝関節屈曲140度、伸展0度、膝関節伸展不全25度、左下肢筋力MMT3であった。左下肢1/3荷重で松葉杖歩行練習を開始した。受傷後10週目、ROMは膝関節屈曲150度、膝関節伸展不全15度、左下肢筋力MMT4であった。受傷後12週目、ROMは膝関節屈曲155度(深屈曲可能)、膝関節伸展不全5度、受傷後13週目、左下肢1/2荷重で松葉杖歩行練習を開始した。受傷後14週目、膝関節伸展不全0度であった。受傷後18週目、左下肢全荷重で杖および独歩での歩行練習を開始した。受傷後21週目(最終評価)、股関節屈曲120度、外旋50度、膝関節屈曲155度、伸展0度、膝関節伸展不全0度、左下肢筋力MMT4、棘下長87cm/87.5cm、転子果長81.5cm/82.0cmであった。独歩自立、左立脚中期にトレンデレンブルグ徴候、長距離歩行で左大腿外側に軽度疼痛が残存した。理学療法終了時の治療成績はKarlstromの評価基準でGoodであった。受傷後23週目、職業復帰に至った。
【結論】
同側大腿骨三重骨折1例に対する観血的骨接合術後の理学療法を経験し、治療成績は概ね良好であった。