第34回大阪府理学療法学術大会

講演情報

口述 一般演題

事前公開

[O-04] 一般演題(脳卒中①)

2022年7月3日(日) 12:35 〜 13:20 会場7 (12階 1202会議室)

座長:三好 卓宏(医真会八尾総合病院)

12:45 〜 12:55

[O-04-2] 栄養管理ならびに中強度かつ高頻度の運動療法により骨格筋指数が増加した高齢脳梗塞の1例

高田 祐輔1, 山本 洋司1, 堀田 旭1, 惠飛須 俊彦2 (1.関西電力病院リハビリテーション部, 2.関西電力病院リハビリテーション科)

キーワード:骨格筋指数、脳梗塞

【症例紹介】80歳代,女性,BMI17.8kg/m2.現病歴は会話困難となり他院へ救急搬送.頭部MRIにて左島皮質および頭頂葉に高信号域を認め,心原性脳塞栓症と診断され保存加療となった.第25病日に当院回復期リハビリテーション病棟へ転院となった.
【評価とリーズニング】意識清明,軽度の失語症を有していた.NIHSS1点,握力は右7.0kg左8.6kg,Fugl-Meyer assessmentは右上肢66点,右下肢34点,筋緊張はMAS足関節0点であった.嚥下障害は認めなかった.骨格筋指数(SMI)は4.3kg/m2であった.身体機能検査は,歩行速度0.72m/sec,5回立ち上がりテスト13.8秒,SPPB8点であり,FBSは47点,6分間歩行テストは独歩にて290mであった.FIMは79点であった.本症例は明らかな運動麻痺を認めなかったが,筋力および身体機能低下,SMIの低下が著しく重症サルコペニアの状態であった.そのため,栄養管理の下,SMIおよび身体機能改善に向けた運動療法を実施していく必要があった.高齢者のSMIに対しては,運動療法において頻度が重要な要素であると報告されている.本症例においては,栄養管理ならびに中強度かつ高頻度の運動療法が,身体機能だけでなくSMIの改善に寄与すると考えた.
【介入と結果】レジスタンス運動はレッグプレス運動および片脚カーフレイズを中心に実施,強度はBorgスケール13を目標とし,回数も漸増させた.有酸素運動は自転車エルゴメーター,階段昇降を実施し,カルボーネンの式を用いて,強度(k)0.4以上を目標とした.第38病日より各種運動療法を開始し,1~2回/日を週5日以上実施した.栄養管理としては,タンパク質の目標摂取量を1.2~1.5g/kg/日とした.第113病日,BMI18.1kg/m2,握力は右14.9kg左14.0kg,SMIは5.0kg/m2であった.身体機能検査は,歩行速度1.17m/sec,5回立ち上がりテスト9.9秒,SPPB12点であり,FBSは53点,6分間歩行テストは390mとなった.FIMは116点となり,自宅退院となった.
【結論】栄養管理ならびに中強度かつ高頻度の運動療法は,身体機能改善とともにSMIを増加させる可能性がある.