第34回大阪府理学療法学術大会

講演情報

口述 一般演題

事前公開

[O-14] 一般演題(呼吸①)

2022年7月3日(日) 15:15 〜 16:00 会場6 (12階 特別会議場)

座長:一宮 晶(イチタス)

15:35 〜 15:45

[O-14-3] 非特異的間質性肺炎患者への患者教育、他職種連携にてQOL改善を試みた一症例

上本 篤史, 井口 奈保美, 本田 丈歩, 西端 彩奈, 田淵 成臣, 花崎 太一 (大阪回生病院リハビリテーションセンター)

キーワード:非特異的間質性肺炎、患者教育

【症例紹介】
80代男性。間質性肺炎の急性増悪で当院に入院。非特異的間質性肺炎と診断。2年前から間質性肺炎を発症していた。本症例は入院前から活動的であり、「友人と一緒にピクニックへ行きたい」という思いがあったが、「坂道は無理ですね」など悲観的な発言が目立った。今回、呼吸リハビリテーションで呼吸機能の改善、屋外歩行練習の中で随時身体状況の変化をフィードバックしながら、退院後に自身で活動レベルのコントロールを行えるように患者教育を実施。また、リハビリ以外の時間は病棟看護師と連携し身体活動量の増加を図ったことで運動耐容能、QOL改善が得られたため報告する。
【評価とリーズニング】
入院時、肺機能検査は肺活量(以下VC)1.84L(61.3%)、努力性肺活量(以下FVC)1.81L(62.1%)、1秒量(以下FEV1)1.62L(72.6%)。プレドニゾロン(以下PSL)25㎎/dayを第7病日より投与。第4病日に初期評価を開始。右中葉、右下葉に捻髪音あり。mMRC息切れscaleはGrade2、安静時心拍数(以下HR)100回/分、呼吸数(以下RR)28回/分、修正Borg指数0、SpO2は97%。6分間歩行距離(以下6MD)は163m、開始後2分でHR120回/分、RR36回、修正Borg指数5、SpO2が85%まで低下し、約1分の休憩でHR111回/分、修正Borg指数3、SpO2は95%と回復したため継続した。SF-36v2では全体的健康感35活力12.5。COPDアセスメントテスト(以下CAT)は21点、長崎大学ADL評価表(以下NRADL)は70点であった。

QOLの改善には呼吸困難感を考慮した長距離歩行の獲得が不可欠なため、呼吸機能の改善に加え、身体状況の自己管理を指導する必要があった。
【介入と結果】
第24病日から屋外歩行を実施、SpO2が90%未満、HRは122回/分(K=0.6)にて休憩を取るように指導した。開始当初では約300mの地点で負荷量を超えた。運動耐容能の増大を図るため自主練習として、呼吸筋ストレッチ体操、下肢筋力増強練習、病棟内歩行を指導した。その際に、休憩の促しと孤独感の軽減を目的に看護師へ付き添い歩行を依頼した。

結果、捻髪音は軽減。mMRC息切れscaleはGrade1に軽減、安静時のHR、RR、修正Borg指数、Sp02に悪化無し。第33病日に最終評価を開始。6MDは約300mまで延長し、開始から2分でHR115回/分、SpO2は92%、修正Borg指数4。屋外歩行はSpO2が92%以上、HR122回/分未満を維持し、20分で約1.5kmの歩行が可能。RRに変化はなかった。SF-36v2は全体的健康感40活力44、CATは14点、NRADLは93点であった。第25病日にPSL15mg/dayへ漸減。退院時の肺機能検査はVC2.18L(75.1%)、FVC2.23L(79.0%)、FEV1 1.98L(92.0%)に改善した。「カラオケに行きたい」と新しく前向きな発言がみられ、第45病日に退院に至った。
【結論】
非特異的間質性肺炎の予後は不良であると報告されている。疾病に配慮した患者教育や呼吸リハビリテーションにより、身体活動性の維持、向上、健康関連QOLが改善した。