4:20 PM - 4:30 PM
[O-16-3] 認知機能低下を呈したが自室内歩行自立に至った一症例－胸郭・骨盤加速度平均、歩行周期変動係数の経時的変化－
Keywords:歩行、加速度計
【症例紹介】80歳代女性。左放線冠梗塞BAD後、発症48病日で当院回復期病棟へ転院となり担当理学療法を開始した。今回、病棟内歩行自立は困難であったが、自室内歩行自立に至った症例を経験し、3軸加速度計（TSND121、ATR社）による歩行分析の特徴について報告する。
【評価とリーズニング】入院時FIM38/126（運動21/91、認知17/35）。麻痺側運動機能はFugl-Meyer Assessment（FMA）下肢12/34、感覚障害は認めなかった。体幹機能はTrunk Impairment Scale(TIS)15/23、バランスはBerg Balance Scale(BBS)10/56、認知機能はMini- Mental State Examination(MMSE)25/30、前頭葉機能はFrontal Assessment Battery（FAB）9/18であった。歩行は手すり使用が中等度介助、立位保持は支持物を用いなければ介助を要した。
【介入と結果】発症170病日目までの介入は背臥位、座位での骨盤の選択運動や立ち上がり練習、立位バランス及びステップ練習、介助歩行練習を行い、病棟内杖歩行が見守りで可能となった。FIM84/126（運動62/91、認知22/35）、FMA下肢27/34、TIS19/23、BBS40/56、10m歩行は34.2秒、35歩となった。発症207病日目までの介入は立位での麻痺側後方ステップ位での支持練習や歩行距離延長を図り、自室内歩行が自立した。FIM93/126（運動66/91、認知27/35）、FMA下肢27/34、TIS19/23、BBS43/56、MMSE26/30
、FAB10/18、10m歩行は31.4秒、39歩となった。発症170病日から発症207病日にかけて、3軸加速度計をT7棘突起部、L4棘突起部、右腓骨頭に装着しT字杖歩行を測定した。結果は骨盤の左右成分の加速度平均が0.62（m/sec）から0.46（m/sec）に減少したが、胸郭の左右成分の加速度平均は0.6（m/sec）から0.58（m/sec）、歩行周期変動係数は11％から18％と改善を認めなかった。
【結論】今回、病棟内歩行自立には至らなかったが、自室内歩行自立となった症例を経験した。歩行時の胸郭の左右成分の加速度平均は変化が見られなかったが、骨盤の左右成分の加速度平均が減少し、TIS、BBSの改善が得られ骨盤帯の安定性を獲得したことが制限付きの歩行獲得に至った要因と考えた。一方で、新井ら（2013）は片麻痺患者の転倒における歩行周期変動のカットオフ値は3.3％と報告しているが本症例は18％であった。またFABの結果より前頭葉機能低下による2重課題の難しさにより、病棟内歩行自立に至らなかったと考察した。
【評価とリーズニング】入院時FIM38/126（運動21/91、認知17/35）。麻痺側運動機能はFugl-Meyer Assessment（FMA）下肢12/34、感覚障害は認めなかった。体幹機能はTrunk Impairment Scale(TIS)15/23、バランスはBerg Balance Scale(BBS)10/56、認知機能はMini- Mental State Examination(MMSE)25/30、前頭葉機能はFrontal Assessment Battery（FAB）9/18であった。歩行は手すり使用が中等度介助、立位保持は支持物を用いなければ介助を要した。
【介入と結果】発症170病日目までの介入は背臥位、座位での骨盤の選択運動や立ち上がり練習、立位バランス及びステップ練習、介助歩行練習を行い、病棟内杖歩行が見守りで可能となった。FIM84/126（運動62/91、認知22/35）、FMA下肢27/34、TIS19/23、BBS40/56、10m歩行は34.2秒、35歩となった。発症207病日目までの介入は立位での麻痺側後方ステップ位での支持練習や歩行距離延長を図り、自室内歩行が自立した。FIM93/126（運動66/91、認知27/35）、FMA下肢27/34、TIS19/23、BBS43/56、MMSE26/30
、FAB10/18、10m歩行は31.4秒、39歩となった。発症170病日から発症207病日にかけて、3軸加速度計をT7棘突起部、L4棘突起部、右腓骨頭に装着しT字杖歩行を測定した。結果は骨盤の左右成分の加速度平均が0.62（m/sec）から0.46（m/sec）に減少したが、胸郭の左右成分の加速度平均は0.6（m/sec）から0.58（m/sec）、歩行周期変動係数は11％から18％と改善を認めなかった。
【結論】今回、病棟内歩行自立には至らなかったが、自室内歩行自立となった症例を経験した。歩行時の胸郭の左右成分の加速度平均は変化が見られなかったが、骨盤の左右成分の加速度平均が減少し、TIS、BBSの改善が得られ骨盤帯の安定性を獲得したことが制限付きの歩行獲得に至った要因と考えた。一方で、新井ら（2013）は片麻痺患者の転倒における歩行周期変動のカットオフ値は3.3％と報告しているが本症例は18％であった。またFABの結果より前頭葉機能低下による2重課題の難しさにより、病棟内歩行自立に至らなかったと考察した。