日本薬学会第142年会(名古屋)

セッション情報

一般シンポジウム

[S12] カイコ創薬最前線:ヒトバイオ医薬品生産・ヒト疾患モデル開発への展開

2022年3月26日(土) 13:30 〜 15:30 [Q会場] 白鳥ホール北 (4号館1階)

オーガナイザー:関水 和久(帝京大薬)、伊藤 孝司(徳島大院薬)

 我が国の伝統的かつサステナブルな生物資源であるカイコは、優れた絹糸タンパクの生産能力を持つ。近年、ヒト抗体や酵素遺伝子を絹糸腺で大量発現(カイコ1頭当たり1~10 mg)する組換え(Tg)カイコが作製され、繭からの原薬の簡便精製や糖鎖改変が可能になってきた。一方、カイコはヒト疾患病態や薬物有効性評価のための、哺乳動物の代替モデルとして注目されている。演者らは、2000年に世界初で開発された作製技術を改良し、絹糸腺でCTSAやIDUA遺伝子を高発現するTgカイコ系統を樹立し、その繭からの活性型酵素の簡便精製法や人工糖鎖改変技術を確立してきた。また同酵素欠損症ニホンザルの静脈内に継続投与し、繭由来ヒト酵素の有効性と安全性を実証した。さらにカイコは、サイトカインストーム等のヒト病態モデル動物として薬効薬理試験にも有用であることが判明した。近年、全国各地でTgカイコの無菌大量飼育施設が設立され、Tgカイコ系統のバンク化も具体化している。今後カイコを医療用ヒト糖タンパク質の大量生産基材として、また哺乳動物の代替えモデルして活用することにより、将来バイオ医薬品製造や非臨床試験の低コスト化及び動物愛護の問題を回避できる「カイコ創薬」の実現と推進が期待される。本シンポジウムでは、カイコをバイオ医薬品の大量生産系として、またヒト病態モデル評価系として活用し、創薬への応用を目指す研究について紹介する。

オーガナイザー挨拶:関水 和久(帝京大薬) (13:30 〜 13:35)

14:15 〜 14:35

○伊藤 孝司1、西岡 宗一郎1、篠田 知果1、竹内 美絵2、月本 準1、佐々井 優弥1、大石 高生3、灘中 里実4、北川 裕之4、原園 景5、石井 明子5、小林 功6、笠嶋 めぐみ6、立松 謙一郎6、瀬筒 秀樹6 (1. 徳島大院医歯薬、2. 徳島大薬、3. 京都大霊長類研、4. 神戸薬科大、5. 国立衛研、6. 農研機構)

総合討論・総括:伊藤 孝司(徳島大院医歯薬) (15:15 〜 15:30)

×

認証

×

要旨・抄録、PDFの閲覧には参加者用アカウントでのログインが必要です。参加者ログイン後に閲覧・ダウンロードできます。
» 参加者用ログイン