第16回日本薬局学会学術総会

Presentation information

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Sun. Nov 6, 2022 3:10 PM - 4:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-036-C] アンジオテンシン受容体拮抗薬服用患者の服用継続にかかりつけ機能の発揮が及ぼす影響

野村 由夏1, 永野 悠馬2, 前田 守2, 緒形 富雄2, 市ノ渡 真史2, 長谷川 佳孝2, 月岡 良太2, 大石 美也2 (1.(株)アインファーマシーズ アイン薬局 獨協医大店, 2.(株)アインホールディングス)

【目的】高血圧患者における血圧の良好なコントロールは心血管系疾患の予後とも関係するため、治療薬の継続服用は重要な意味を持つ。そこで、高血圧治療薬の一例としてアンジオテンシン受容体拮抗薬(以下、ARB)に着目し、薬局薬剤師のかかりつけ機能の発揮がARBの服用継続に及ぼす影響を調査した。
【方法】当社グループ保険薬局の匿名化レセプトデータを用い、2019年1月~2022年4月にARBを含む処方箋を応需した697薬局から、2020年1月以降に初めてARBが処方された20歳以上の患者を抽出した。その際、処方回数に対するかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料の算定率が50%以上をかかりつけ群(以下、FP群)、未算定を対照群(以下、CO群)とし、ARBの服用継続期間をカプランマイヤー法およびログランク検定で解析した。なお、2022年4月30日までに各ARBの処方日数中央値の1.5倍以上の未服薬期間が発生した場合は、初回調剤日から未服用期間が発生する直前の調剤日に処方日数を加えた日までの間隔を服用継続期間とした。また、服用継続期間を目的変数、女性、65歳以上、FP群を説明変数とする有意水準0.05としたCox比例ハザード分析を実施した(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-163)。
【結果】FP群は3,368名、CO群は87,579名であった。服用継続期間はFP群(中央値818日 [95%CI:721-NA])の方がCO群(406日 [399-413])よりも有意に長かった。また、Cox比例ハザード分析では、FP群(ハザード比0.58 [0.54-0.61])、女性(0.96[0.94-0.98])、65歳以上(0.96 [0.94-0.98])で有意であった。
【考察】本研究から、薬局薬剤師のかかりつけ機能の発揮は、ARBの服用継続に貢献する可能性が示唆された。今後も薬局薬剤師は、ARB服用患者に対応してかかりつけ機能を発揮し、ARBの服用継続期間延長を通じた血圧コントロールに貢献することが必要と考える。