第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:00 PM - 2:40 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-005-B] 薬剤師のための認知症関連要因の知識 A-to-Z認知症ナレッジリストの活用

齊藤 亮 ((株)健栄 コスモス薬局東船橋店)

【目的】
世界的に認知症予防に関する社会的関心が強まっており、世界各国で様々な研究が行われている。薬剤師の認知症関連要因A-to-Z認知症ナレッジリスト(以下、リスト)はスペインの研究チームが発表したAからZまでの頭文字からなる新しい知見を含めた認知症早期発見のためのスクリーニングツールである。本研究では、このリストを活用し認知症発症関連要因への当社薬剤師の理解度についてアンケート調査を行い、薬剤師の認知症早期発見に必要な知識について検討した。
【方法】
(株)健栄に在籍する20~60代の各年齢層から5名ずつ計25名の薬剤師に対し、リストに基づいた認知症の危険因子16項目、保護因子15項目、非関連要因5項目の計36項目の質問についてアンケートを実施した。薬学課程および年齢層、経験年数毎の平均正答数について、また、危険因子群、保護因子群、非関連要因群での平均正答率さらに各項目の平均正答率について調査した。得られたデータはt-検定を用い解析を行った。
【結果】
薬学課程、年齢、経験年数毎の危険因子・保護因子・非関連要因の平均正答数に有意な差は認められなかった。危険因子群、保護因子群、非関連要因群での平均正答率は72%、70%、34%であった。危険因子ではBZ系薬剤の慢性使用、脳外傷、社会的孤立、また、保護因子では認知刺激、楽器の演奏、認知症への積極的な姿勢の項目で100%であったのに対して、非関連要因に100%の項目はなく、毎日音楽を聴くこと、身体の衛生管理では4%、8%と正答率が特に低い結果であった。
【考察】
今回の結果よりリストに基づいた認知症の危険因子、保護因子、非関連要因の項目毎の社内理解度を確認できた。危険因子や保護因子に比べ非関連要因の理解が低かった。リストの検証にはさらなる認知症研究の発展が必要であるが、薬剤師がリストを深く理解することで、薬剤師の認知症早期発見や教育において更なる貢献が可能であると考えられた。