第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Mon. Oct 9, 2023 1:10 PM - 1:50 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-007-A] 調剤薬局における患者・患者家族への聞き取りがもたらす疑義照会への影響

鈴木 猛弘1, 上田 昌宏2 (1.ひまわり調剤(株), 2.摂南大学)

【目的】
疑義照会は形式的疑義照会(形式疑義)と薬学的疑義照会(薬学疑義)で区別される。患者や家族への聞き取りがもたらす、それぞれの疑義照会の発生件数の違いは報告されていない。そこで、これらの疑義の頻度を調査し、頻度と聞き取りとの関連性を明らかにする為に、ひまわり調剤新川崎薬局における疑義照会内容の調査を行った。
【方法】
調査期間内(2022年1月~12月)の応需処方箋に対する疑義について、カルテ番号以外の個人情報と直結しない社内データベースを利用し、疑義内容など の抽出を行った。また、疑義が発生したタイミングが、患者から聞き取る前であれば「聞き取り前」、後であれば「聞き取り後」とし、カウントした。
【結果】
期間に応需した処方箋は38182枚であった。疑義照会の全数は701件、その内訳(聞き取り前、聞き取り後)は形式疑義270件(前231件、後39件)、薬学疑義431件(前120件、後311件) であった。疑義照会要因および件数は、用法・用量の変更に関する形式疑義138件(前133件、後5件)、薬学疑義92件(前60件、後32件)、残薬調整に関する薬学疑義153件(19件、134件)、処方漏れに関する薬学疑義102件(前7件、後95件)、その他であった。
【考察】
疑義照会の全数結果から、形式疑義は、聞取り前に発見する事例が多い傾向にあった。この要因として、患者、患者家族から状況を聴取しなくても疑義照会可能な、添付文書等の明確な基準に則った内容であったと考えられる。一方で、薬学疑義は聞き取り後に多く実施されており、状況確認によって残薬調整や処方漏れを発見でき、患者の必要薬剤を考慮した調整ができることが示された。聞き取り前は形式を重視し、聞き取り後は薬剤師の専門性を活かすといった重点的に確認する観点が明確になったと考えられる。