第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Mon. Oct 9, 2023 1:10 PM - 1:50 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-034-A] 高齢者への認知機能低下リスクがある薬剤使用状況

西村 飛由馬, 位田 好隆 ((株)メディカル一光 フラワー薬局はまゆう店)

【目的】
高齢化および認知症患者増加の現在において薬剤師による認知症早期発見、予防に期待が寄せられている。高齢者への認知機能低下の可能性があるとされる薬剤の使用状況を調査し、得られた結果を分析することで認知症早期発見、認知機能低下進行防止に有用な情報を獲得する。
【方法】
高齢者を75歳以上に設定し2017年4月1日から2022年3月31日の期間において、「認知症疾患診療ガイドライン2017」に「認知機能低下を誘発しやすい薬剤」として記載があり、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」」では「高齢の患者に使用すると認知機能障害をきたす可能性があり、特に慎重な投薬を要する薬物」と記載がある薬剤について使用状況を調査した。また対象を認知症治療中の患者に絞って同様の調査を実施した。
【結果】
75歳以上の高齢者において調査対象薬剤の服用患者は18%。対象を70歳以上に変更した場合でも15%とほぼ同等であった。使用薬剤で最も多いのは双方ともにベンゾジアゼピン薬剤、次いでH2受容体拮抗薬であった。対象を認知症治療中患者に限定した場合、該当薬剤使用者は54名中6名であった。6名中4名は調査期間中に対象薬剤の用法、用量、剤形等の変更があった。
【考察】
対象年齢を75歳以上から70歳以上に変更した場合も対象薬剤使用率、種類に大きな変化がないこと、H2受容体拮抗薬やベンゾジアゼピン系薬剤は年齢を問わず頻用され長期にわたり使用される傾向にあることから、高齢に至る前の早い段階から観察が必要であるといえる。認知症治療患者であっても必要に応じて用法、用量、剤形等の変更を検討しながら調査対象薬剤が使用されており、それらの処方変更前後の患者状況を観察することや、変更の提案が出来るように準備することでリスク軽減に寄与できると考えられる。