第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2023年10月9日(月) 13:10 〜 13:50 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-046-A] カボサンチニブ錠服用患者への継続支援により手足症候群の重篤化回避につながった症例

佐々木 香奈, 圓藤 晶子, 舟見 健児 ((株)フロンティア フロンティアていね薬局)

【目的】
カボサンチニブ錠は服用期間中、様々な有害事象が出現する可能性があり継続的に電話による服薬フォローアップ(TF)を行うことが有害事象の早期発見、重篤化防止のために重要である。今回、カボサンチニブでの治療が開始となった患者に対して継続的にTFを行った結果、手足症候群(HFS)の重篤化を回避出来た症例を経験したので報告する。
【症例と結果】
70代女性、転移・再発腎細胞がんに対しカボサンチニブ 60mg/日で開始したが高血圧等認容不能な副作用発現のため40mg/日へ減量した患者。減量された時点をDay1とし、副作用評価は有害事象共通用語基準v5.0日本語訳JCOG版に基づきGrade(Gr)評価した。Day20のTF時、保湿ケアは行えているものの左手親指に亀裂発現を確認(Gr1)。Day1時点では皮膚症状は認めなかったため(Gr0)、カボサンチニブによるHFS発現の可能性を考えステロイド外用剤が必要と判断したが手持ちがなく、受診勧奨。当日受診の結果ジフルプレドナート軟膏が追加となった。Day25のTF時には、痛みも出現しGr2へと悪化していた。休薬の可能性も考え病院へ連絡するよう指導し、カボサンチニブは休薬となった。Day27の定期受診時には痛みが軽減、Gr1へと改善しカボサンチニブが再開となった。
【考察】
本症例では継続的にTFを実施したことで、HFSの悪化を早期発見し、早めの受診につなげることができ、結果としてカボサンチニブの休薬期間を最小限にすることができたと考える。一方で、本症例の患者は電子的な患者報告アウトカム(ePRO)を用いて毎日病院へ健康状態の報告を行っていた。薬局薬剤師はePROの結果を把握できないが、ePRO使用患者に対して二度手間になってしまうことを危惧してTFを躊躇する傾向があるため、ePRO使用患者への積極的な介入が今後の課題である。