第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2023年10月9日(月) 13:10 〜 13:50 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-058-A] 薬局薬剤師の EHR 活用における課題

松谷 拓周1, 榎本 尚人2, 林 宏樹2, 稲田 健志2, 杉浦 伸哉2 (1.スギ薬局金沢昭和町店, 2.(株)スギ薬局)

【目的】
現在、石川県内のスギ薬局16店舗において「ハートネットホスピタル」「いしかわ診療情報共有ネットワーク」のいずれかのEHR(Electronic Health Record)を導入している。EHR導入店舗の薬剤師を対象に、EHR活用に関する課題について調査したので報告する。
【方法】
EHR導入店舗の薬剤師に対して、回答者属性、EHR使用経験年数、業務(処方監査・服薬指導・トレーシングレポート・フォローアップ等)におけるデータ確認項目と活用による業務の変化について選択式で尋ね、「患者からの同意、情報獲得工程、知識不足等」について5段階で課題と感じているかについて、2023年4月18日~21日の期間にWebアンケートを実施した。
【結果】
病院経験・薬剤師歴によってEHR活用状況に大きな差がなかった。EHRで利用されるデータは、処方監査では、治療方法、病名、検査値、処方意図と主な症状、服薬指導では、検査値、治療方針、治療方法、主な症状を参照していた。活用状況として、トレーシングレポート5人(33.3%)/14人、フォローアップ4人(26.7%)/15人であった。EHR活用で、変化した事項は、患者情報収集が効率化、薬歴の質が向上、処方経緯や処方意図が分かり、不要な疑義照会が減少、服薬指導の質が向上の回答が多かった。EHR活用上の課題に関して、トレーシングレポートへの活用の有無とEHR活用で、課題と感じている項目との独立性のχ二乗検定において、「診断に関する情報を閲覧できても知識が少なく活用できなくて困る」と「検査値情報を閲覧できても知識が少なく活用できなくて困る」との関連が見られた。
【考察】
本調査よりEHR活用は薬剤師経験の有無に左右されないが、閲覧できる情報を活用の知識不足は課題と感じている。一方、薬歴の質向上、処方意図把握などの業務に貢献しているとみられ、今後、EHRデータを活用したアセスメント方法、治療貢献事例を蓄積・共有していくことが重要であると考えている。