第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2023年10月9日(月) 13:10 〜 13:50 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-064-A] 小児の薬物療法における服薬拒否要因と保護者の対応: 薬剤師の役割と指導内容の調査 

平塚 誠1, 岡田 綾加2, 板倉 寿成3, 土門あかり5, 片倉 智子4 (1.クオール(株) クオール薬局新保店, 2.光善寺駅前店, 3.宇都宮越戸店, 4.ララ1号店, 5.ローソンクオール薬局板橋蓮根二丁目店)

【目的】
小児の薬物療法において、患児が医師から処方された医薬品を適切に服用することは重要である。過去の研究によれば、患児の約半数が医師の指示通りに薬を服用できていないと報告されており、この問題に取り組むためには薬剤師の役割が不可欠である。本研究では、服薬拒否の要因などを調査し、これに対処するための薬剤師の提案内容を検証することを目的とした。
【方法】
2022年7月1日から8月31日の期間中に、クオール株式会社の5薬局で、5歳以下の患児の保護者から、服薬拒否の要因および服薬拒否時の保護者の対応を聞き取り、薬剤師が服薬拒否の要因に応じて提案した内容をWEBデータ収集ツールにて報告した。服薬拒否の要因は「味」「疾患」「服薬時の雰囲気」「不適切な服薬方法」に分類し、服薬拒否時の保護者の対応は「無理やり飲ませている」「飲める量だけ飲ませている」「あきらめている」に分類した。
【結果】
対象期間中、服薬拒否の患児は62人。服薬拒否の要因はのべ75件あり、「味」52件、「服薬時の雰囲気」12件、「不適切な服薬方法」11件であった。また服薬拒否時に保護者の対応としては、のべ69件回答があり「無理やり飲ませている」34件、「飲める量だけ飲ませている」27件、「あきらめている」8件となった。薬剤師の提案項目数は「あきらめている」群は平均2.0項目、「飲めるだけ飲ませている」群は1.4項目、「むりやり飲ませている」群は1.3項目だった。
【考察】
服薬拒否は多くが医薬品の味によるもので、マスキングに適した飲み物を提案していた。薬物治療効果が期待できない「あきらめている」群に対しては、他より、提案項目数が多かった。このことから、薬剤師には、患者個々の問題に合わせた提案力が重要と考える。