一般演題（ポスター）Aグループ

[P-082-A] プレアボイド事例の分析と今後の課題

^○新坂 彩 (（株）アイセイ薬局 首都圏東支店)

【目的】
プレアボイドは、適切な薬物治療を提供する上で薬剤師の重要な役割の一つである。今回は当社のプレアボイド事例について、医薬分業における薬剤師職能の実績を可視化し、事例内容を分析して傾向を探り、今後の課題について検証することを目的とした。
【方法】
当社の埼玉県・東京都エリアの47店舗において、2022年1月～12月に日本医療機能評価機構に報告されたプレアボイドについて、介入成果・契機、情報源等について、集計と分析を行った。
【結果】
集計した事例は557例であった。介入成果は、「副作用の可能性を回避」332件、「治療効果の向上」221件、「影響なし」4件であった。介入契機は、「重複」181件、「投与量」138件、「副作用」84件、「相互作用」52件、「病態禁忌」39件、その他が63件であった。情報源は、「薬歴」190件、「患者・家族からの聴取」175件、「お薬手帳」170件、その他が22件であった。プレアボイドの対象薬を介入契機の項目ごとに分析した結果、「重複」のうち、同効薬の重複の件数は胃薬が最も多く、次に抗アレルギー剤、同成分の重複はレバミピドが最も多く、次にメコバラミンであった。「投与量」のうち、腎機能に応じ投与量が変更されたのは24件で、レボフロキサシンが最も多く、次にバラシクロビルであった。
【考察】
薬剤師の介入により、副作用の発生や重篤化の回避、不利益などの回避、治療効果の向上に至り、プレアボイドが薬物治療に貢献していることが示唆された。単純な処方誤りと推察される事例もある中で、薬歴、お薬手帳による服用薬の一元的管理や、投薬時に聴取した情報を積極的に活用し、薬学的な観点も踏まえた上でプレアボイドに至る事例も多かった。今後の課題としては、検査値の薬学的評価を処方監査に活かす好事例を増やすこと、プレアボイド事例の収集・分析を継続し、好事例の共有化を図ることが挙げられた。