一般演題（ポスター）Aグループ

[P-085-A] 過誤発生率の動向調査

^○井俣 宗久, 増田 和之, 野間 智, 箕浦 靖久, 峯 考司, 延本 力, 福地 秀次, 倉本 哲志, 本間 清介, 山田 雅一 (一般社団法人日本保険薬局協会 リスクマネジメント委員会)

【目的】
薬局においてミスを起こさないことが常に求められている。しかしながら一定数のミスが発生しているのが現状である。
この実態を把握し過誤ゼロを目指すため、日本保険薬局協会リスクマネジメント委員会に参加している正会員8社から毎月、過誤発生率等を収集し動向調査を行った結果を報告する。
【方法】
調査にあたり各社で異なる過誤の定義について協議し、この調査では「患者の健康被害の有無にかかわらず、薬局にて何らかの間違いを起こし、患者に誤った薬剤等を交付した事態を指し、処方された意図に対して異なる結果につながる可能性がある場合（誤った薬剤のみならず、薬剤の数の過不足、薬袋の記載ミス、違う患者への交付、一部の薬剤の渡し忘れを含む）」を過誤と定義した。発生件数を月の取扱い処方箋枚数で除した数の百分率を「誤った薬を交付した率」すなわち「過誤発生率」とした。
この定義に基づき各社より「毎月の薬局数」「取扱い処方箋枚数」「誤った薬を交付した処方箋枚数」「過誤発生率」等を毎月協会事務局にて集約し、会社が特定されない形で委員会へ開示、過誤発生率や再発防止について情報共有をしつつ調査等を行った。
【結果】
2022年4月から2023年3月までの1年間の調査結果は、調査対象薬局数（8社年間平均月薬局数）6,039薬局、取扱い処方箋枚数のべ87,800,755枚、年間過誤率中央値0.0161％（平均値0.0147％）であった。
月の中央値推移は一部過誤発生率が高い月もあったが全体的に減少傾向であった。
【考察】
今回は当委員会所属会社という限られた範囲での調査となったが、2021年度末の数値として公表されている薬局数・処方箋枚数を考えると約10％の範囲で調査したことと推測される。
毎月委員会で各社と再発防止について情報共有を行ったことが過誤発生率の中央値減少に繋がったと考えられることから今後も動向調査を行いつつ、各社と情報共有をし、過誤ゼロを目指していきたいと考える。