第17回日本薬局学会学術総会

Presentation information

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:00 PM - 2:40 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-083-B] 複数医療機関から処方されたエプレレノンとカリウム製剤での副作用発現における薬剤師の対応及びお薬手帳を活用した情報提供事例

日野 優生1, 竹下 智隼1, 山崎 正貴1, 平井 文朗1, 大坂 周平2, 島田 昌典2 (1.(株)FiNE りおん薬局, 2.harmo(株))

【目的】
複数医療機関の受診では重複投薬や相互作用が起きる可能性が高く薬局では併用薬の確認が必要である。今回、患者の体調変化から、医療機関への問合せの上、服用薬の見直しにつなげた事例で他医療機関・薬局への周知としてお薬手帳を用いた情報提供を行った症例を報告する。
【症例】
80歳代男性で慢性心不全及び緑内障を合併した患者において、内科の訪問医から慢性心不全の治療でエプレレノンが処方され当薬局で対応。その後、緑内障治療にて他院眼科を受診し、アセタゾラミドと副作用の予防目的でL―アスパラギン酸カリウムが処方され他薬局で調剤された。受診時に患者はお薬手帳を眼科医に見せると飲み合わせは訪問医に見てもらい、眼科の薬は飲むように指示を受け、服用薬の詳細確認はされなかった。数日間服用後、患者はふらつきや倦怠感を訴え、収縮期血圧が100mmHgに満たないことがあった。当薬局がこの状況を在宅訪問時に確認し訪問医へ報告、「カリウム製剤の必要性は訪問医が判断するため、眼科処方のカリウム製剤は中止」と指示を受け、薬剤師から患者へ対応を説明した。加えて、眼科医へ今回の対応を伝えるため「カリウム値を訪問診療で評価するため眼科での処方は不要」と薬剤師がお薬手帳に記載し、受診時に眼科医に見せるよう患者に説明した。カリウム製剤は中止され訪問医の診察までには低血圧症状の訴えは減少した。
【考察】
添付文書上、エプレレノンはカリウム製剤を慢性心不全では併用注意、カリウム製剤はエプレレノンを禁忌としており、症状出現時のカリウム値は未確認だが、カリウム製剤服用から中止後までの体調の経時的変化から副作用の可能性は否定できない。本事例は症状出現後の介入ではあるが、薬剤師が併用薬の記録から飲み合わせの確認をし、その結果減薬の上、症状は速やかに改善され、患者QOLを改善させ、その手段にお薬手帳を活用し病病連携の情報提供ができた好事例だと考える。