第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:00 PM - 2:40 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-107-B] チェックシートを用いた「保湿剤の適正使用」の実態調査と医師、薬剤師、患者間連携に向けて

川崎 光政1, 佐野 智也2, 峯岸 昇2, 松井 洸3, 阿部 真也3, 山口 浩3, 野村 和彦3 (1.薬局くすりの福太郎 船橋日大前店, 2.(株)くすりの福太郎 薬事教育部, 3.(株)ツルハホールディングス)

【目的】
皮膚疾患において治療効果を上げるため、医師の意図する回数を継続的に塗布することが重要である。しかし、現状では「1日数回」の指示があり、患者によって使用状況が異なる可能性がある。添付文書の表記も「1日1~数回」となっているため、患者状況も様々であり十分な治療効果が得られていない可能性がある。そこでヘパリン類似物質製剤等が処方されている患者を対象に調査を実施し、保湿剤の使用状況を把握、有効な服薬指導へ繋げる。
【方法】
令和3年11月3日~令和4年9月18日の期間に千葉県の1店舗で、ヘパリン類似物質製剤等が処方された患者85名を対象にアンケート調査を実施した。調査項目は症状・使用部位・使用期間・塗布量・塗布回数・併用薬の有無とした。倫理規定として、本研究はツルハHD学術研究発表審議会の承認を得て行った(承認番号:HD2021022)。
【結果】
患者85名のうち、1日の塗布回数は1回が35名、2回が33名と合わせて80%であった。医師の口頭による指示回数よりも少ない患者は41名であった。1FTUを適量とした場合、使用範囲と量に差がある患者は40名であった。患者が使用しやすいと考える回数は1回が45名で最も多かった。
【考察】
乾燥症状での受診が多いにもかかわらず、塗布回数は2回以下が最多である。1FTUより使用範囲と量に差がある患者が多いと分かり、治療効果が十分に得られていない可能性が示唆される。患者が使用しやすい回数は1回が一番多く、保湿剤の使用回数、使用量に関して医師、薬剤師と患者の塗布へのイメージが異なっている可能性があると考えられる。医師と連携し、医師が考える保湿剤の使用方法を服薬指導に生かすことが薬剤師の職務として重要である。そのために患者に対して適正使用に繋げるチェックシートを作成し、活用することで医師、薬剤師が患者の使用状況を正確に把握し、情報共有・連携による、患者アドヒアランス・コンプライアンスの改善が期待できる。