[P-118-A] SGLT-2阻害薬の適応拡大が保険薬局における処方箋応需に及ぼす影響
【目的】
2014年4月に糖尿病治療薬として上市されたSGLT-2阻害薬の中で、ダパグリフロジン(DPZ)の適応には2020年11月に慢性心不全(CHF)、2021年8月に慢性腎臓病(CKD)が、エンパグリフロジン(EPZ)には2021年11月にCHFがそれぞれ追加された。したがって、薬局薬剤師はCHFやCKDの患者がSGLT-2阻害薬を服用する場合にも、糖尿病患者に対してだけでなく尿路感染症や低血糖等の副作用を考慮した薬学的管理が求められる。そこで、SGLT-2阻害薬の適応拡大が保険薬局における処方箋応需に及ぼす影響を調査し、薬局薬剤師の果たすべき役割を考察した。
【方法】
2018年1月~2022年10月に当グループが運営する保険薬局624店舗の匿名加工済みレセプトデータを用い、SGLT-2阻害薬の処方動向を調査した。DPZとEPZについて、適応追加前後の処方箋応需枚数を線形近似した傾きを比較する分割回帰分析を有意水準0.05で実施した(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-183)。
【結果】
SGLT-2阻害薬の処方箋におけるDPZ、EPZのシェアは2018年1月で20.3%、21.7%、2022年10月で35.0%、27.6%であった。また、DPZの処方箋応需枚数の推移は適応追加前で傾きが61.8枚/月(95%信頼区間:56.6-67.0)であったが、CHFへの適応追加で傾きが173.1枚/月(107.8-238.4)、CKDへの適応追加で傾きが99.9枚/月(28.6-171.2)それぞれ有意に増加した。EPZも同様、適応追加前の傾きは79.1枚/月(73.6-84.5)であったが、CHFへの適応追加で傾きが128.8枚/月(85.0-172.5)有意に増加した。
【考察】
本研究から、適応拡大でDPZがCHF、CKD患者に、EPZがCHF患者に各々処方され、保険薬局での処方箋応需枚数を有意に増加させた可能性が示唆された。したがって、薬局薬剤師は医薬品の適応拡大に関する情報を素早く把握し、特に該当薬剤を初回応需した患者に対しては、適応拡大された疾患への罹患を考慮した薬学的管理を行う必要があると考える。
2014年4月に糖尿病治療薬として上市されたSGLT-2阻害薬の中で、ダパグリフロジン(DPZ)の適応には2020年11月に慢性心不全(CHF)、2021年8月に慢性腎臓病(CKD)が、エンパグリフロジン(EPZ)には2021年11月にCHFがそれぞれ追加された。したがって、薬局薬剤師はCHFやCKDの患者がSGLT-2阻害薬を服用する場合にも、糖尿病患者に対してだけでなく尿路感染症や低血糖等の副作用を考慮した薬学的管理が求められる。そこで、SGLT-2阻害薬の適応拡大が保険薬局における処方箋応需に及ぼす影響を調査し、薬局薬剤師の果たすべき役割を考察した。
【方法】
2018年1月~2022年10月に当グループが運営する保険薬局624店舗の匿名加工済みレセプトデータを用い、SGLT-2阻害薬の処方動向を調査した。DPZとEPZについて、適応追加前後の処方箋応需枚数を線形近似した傾きを比較する分割回帰分析を有意水準0.05で実施した(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-183)。
【結果】
SGLT-2阻害薬の処方箋におけるDPZ、EPZのシェアは2018年1月で20.3%、21.7%、2022年10月で35.0%、27.6%であった。また、DPZの処方箋応需枚数の推移は適応追加前で傾きが61.8枚/月(95%信頼区間:56.6-67.0)であったが、CHFへの適応追加で傾きが173.1枚/月(107.8-238.4)、CKDへの適応追加で傾きが99.9枚/月(28.6-171.2)それぞれ有意に増加した。EPZも同様、適応追加前の傾きは79.1枚/月(73.6-84.5)であったが、CHFへの適応追加で傾きが128.8枚/月(85.0-172.5)有意に増加した。
【考察】
本研究から、適応拡大でDPZがCHF、CKD患者に、EPZがCHF患者に各々処方され、保険薬局での処方箋応需枚数を有意に増加させた可能性が示唆された。したがって、薬局薬剤師は医薬品の適応拡大に関する情報を素早く把握し、特に該当薬剤を初回応需した患者に対しては、適応拡大された疾患への罹患を考慮した薬学的管理を行う必要があると考える。