第17回日本薬局学会学術総会

Presentation information

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Mon. Oct 9, 2023 1:10 PM - 1:50 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-124-A] 高齢世帯で訪問拒否のある病院外来患者に多職種で連携し在宅医療を行った一事例

古田 美佐子 (なぎさ薬局グループ 寛一商店(株)なぎさ薬局大垣市民病院前店)

【目的】
高齢世帯で服薬介助が必要となった訪問拒否のある病院外来患者に、多職種で連携し在宅医療を行った事例を報告する。
【事例】
90代女性 リウマチ性多発筋痛症 総合病院で外来診療
ケアマネージャー(以下ケアマネ)より服薬管理を依頼され4か月間訪問したが、医師以外は信頼しておらず訪問拒否により中止。7か月後病状悪化により再度依頼され、ケアマネ中心に再開した。
訪問拒否の経緯があるため、医師との連携が重要と考えた。ケアマネや訪問看護師は総合病院の医師との連携は難しいようだが、薬剤師は日頃トレーシングレポート(以下TR)で医師と連携を取っており薬学的提案もできるため、薬剤師が中心となり連携に取り組むことになった。
薬剤師が直接得た情報だけでなく、多職種からの情報は全て報告書に載せ、全ての多職種で共有した。服薬に関する要望や問題点は薬学的に改善策を見出し、TRを受診日に医師に直接持参し、その場で返答をもらうことで迅速な対応に繋がった。訪問拒否や服薬拒否は、背景に隠れている金銭や夫婦間の問題を事前に多職種で共有することで改善した。
医師は当初現状維持を目標に考えていたが、最終的に服薬終了を検討できるまで患者の状態が改善した。
【考察】
多職種の情報共有により、家庭内の状態や治療に対する気持ち、拒否の現状を医師に分かってもらうことができ、医師以外の職種は患者の医学的情報や医師からの言葉を知ることで、介護の方向性に確信を持って対応することができた。その結果、患者の安心に繋がり、訪問拒否のある患者にも在宅医療が可能になったと考える。また拒否に対して、表面的な原因だけでなく生活背景や認知の状態など多方面から原因を追究し、多職種で連携し解決したことが患者の状態改善に繋がったと考える。
在宅医療では、多職種が連携しそれぞれが知りえない情報を全員で共有し、問題点を背景まで掘り下げて解決していくことが重要である。