第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2023年10月9日(月) 13:10 〜 13:50 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-133-A] 病院薬剤部と患者のハブ機能として連携を繰り返すことによって多剤服用患者の服薬アドヒアランスの改善に繋がった症例

石生 碧 ((株)ココカラファインヘルスケア ココカラファイン薬局博多バスターミナル店)

【患者背景】
70歳代、男性。5つの診療科より、合計18薬剤(1日のべ30錠・カプセル)の服用、4つの服用時点があり、多剤服用の状態であった。初回来局時、病院薬剤部より「本人の言うことが面談毎に変わりアドヒアランス(以下、AD)が不明瞭なため薬局での指導内容を共有して欲しい」と依頼があり、服用情報提供書による連携を開始した。
【介入内容】
初回、患者より大量の薬の服用に負担があること(18薬剤中、4科の薬剤10種類がPTPのまま、その他8剤のみが一包化)、服薬による下痢症状で困っていることを聞きとった。薬剤を示しながら服薬状況を確認したところ、患者の薬剤に対する偏見や自己判断による服薬中断等が見受けられた為、各薬剤の服薬状況を考慮し、処方内容の再検討に関する、返書のある双方向の情報提供を月1回の来局時毎に実施した。服薬ADへの介入例として、緩下剤のPTPでの交付提案と共に排便コントロールの評価での当該薬剤の減量・減薬提案にて患者自身での排便コントロールが可能となり、非オピオイドを正しく服用することにより、痛みのコントロールが可能となった。患者からの聞き取りした情報と共に、病院との連携を繰り返した結果、最終的には合計14薬剤(1日のべ17.5錠・カプセル)の服用、2つの服用時点と多剤服用が改善した。
【考察】
薬局薬剤師が服薬状況等を詳細に聞き取り、病院薬剤部への連携を繰り返すことによって服薬ADの改善に繋がった症例と考える。保険薬局では服薬コンプライアンスの改善を目的として一包化するが、どの薬剤を被包に含めるかは患者との相談となることがある。そのような状況を経て複雑化した一包化状況を医療機関では再現することが困難であることが想定される。薬局薬剤師がモノを見ながら患者と服薬状況等を確認し、病院薬剤部と双方向の情報共有により双方のニーズを摺り合わせることにより、質の高い薬薬連携となる可能性が示唆された。