第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2023年10月9日(月) 13:10 〜 13:50 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-136-A] 医療的ケア児に特有の課題に着目したことで解決に導いた薬局薬剤師の介入事例

奥田 佳苗1,3, 蓮実 豊2, 水谷 厚太3, 新美 克長3, 杉浦 伸哉4 (1.(株)スギ薬局 在宅調剤センター半田店, 2.DI室, 3.在宅推進部, 4.(株)スギ薬局)

【はじめに】
高齢化による在宅医療ニーズの拡大によって薬局薬剤師が在宅医療にかかわる機会も増える一方、近年は医療的ケア児における在宅医療対応も求められるようになってきた。当薬局では小児在宅の積極的な受け入れを行い症例が蓄積されている。医療的ケア児に特有の課題に対応するには多職種との密な連携や母親を通した薬学的管理指導が重要なポイントとなる。今回、医療的ケア児に特有の課題に直面し解決した介入事例について紹介したい。
【症例】
短腸症候群で月1回病院受診している高カロリー輸液投与中の0歳女児。退院時に薬局に在宅支援依頼があり介入を開始した。
はじめに直面した課題はカテーテルの自己抜去である。手の自由が利いてくるとカテーテルを頻繁に触り次第に引き抜く行為が散見されたため、看護師と協働しカテーテル周囲の固定方法提案、医師と協働し親の監視がない時間の抜去回避のための間欠投与切り替えなど実施し、結果的にポート留置となった。
次に直面したのはフーバー針の湾曲である。抜針後の針を確認すると針先が曲がっていることに気付いた。原因は夜間の寝返りでフーバー針が圧迫されたことによる湾曲であると分かった。針の長さ調節やガーゼ保護、セプタム部劣化の可能性も考えたポート交換時期評価など再度多職種でアセスメントして解決した。
【結論】
本事例は医療的ケア児に特有の課題に着目し多職種協働で問題解決に導いた事例である。医療的ケア児に特有の課題が潜んでいないかアセスメントすることは在宅介入において非常に重要である。
また、母親と密なコミュニケーションをとることで潜在的な患者ニーズを引き出したり、雑談から気付ける重大な問題点の早期解決に導けることも多い。
このように医療的ケア児への介入を通して様々な経験を積むことで、より良い支援に繋げることの重要性を感じている。今後も医療的ケア児の療養生活に貢献できるように尽力していきたい。