第17回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Mon. Oct 9, 2023 2:50 PM - 3:30 PM ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-150-C] 「先天性聾唖者への在宅介入がコンプライアンスを大幅に改善した1例」

三枝 洸太2,3, 塚田 貴久2, 松崎 由佳3, 香高 弘樹1 (1.(株)アイセイ薬局 首都圏西支店(東海第2支店), 2.アイセイ薬局日赤前店, 3.長野みすゞ店)

【背景】
在宅医療を実施する薬局数は年々増加している。本稿では、手話や視覚的な工夫によりコンプライアンス改善ができた聾唖障害者への在宅医療症例を報告する。
【症例】
80代女性独居。先天性聾唖の要支援1、左進行性乳癌8(ステージ3B以上)、高血圧症であり認知症の疑いもあった。2022年7月27日からアムロジピンOD錠5mg、アナストロゾール錠1mgを服用していた。週2回の訪問頻度で訪問看護師が内服管理していたが、看護師の訪問日以外は全く内服できておらず、ケアマネジャーから相談を受け2022年9月16日から週1回の在宅訪問による服薬管理を開始した。
患者との関係性の構築の為に手話アプリで手話を学習し、服薬カレンダーには視覚的にアピールするデザインを施した。
残薬情報をもとにコンプライアンス表を作成し患者の生活状況を把握し、薬剤師、看護師の訪問日以外はFAX文通を活用し服薬の意識を高める工夫をした。
マスク着用からフェイスシールドへ変更し、顔の表情を伝えることで意思疎通のレベルが上がりアドヒアランスの向上を感じる事ができた。
結果、初回介入から3週間後以降は平均して週5~7日服用できるまでにコンプライアンスを改善することが出来た。
【考察】
アドヒアランス向上がコンプライアンス改善につながった一例と考えられる。服薬管理だけでなく、患者の気持ちや生活に寄り添うことで介護の側面においても貢献できたなら幸いである。これも在宅医療の意義の一つと考えている。
本症例で習得した手話技術は通常の局内での服薬指導の中でも活用できており、今後も県の障害福祉課の方と連携し障害福祉医療に継続的に関わっていきたい。