第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2023年10月9日(月) 13:10 〜 13:50 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-166-A] 神経障害性疼痛治療薬による浮腫発現に対する処方カスケード発生に関する検討

伊藤 将1, 八島 あかり2, 前田 守1, 市ノ渡 真史1, 長谷川 佳孝1, 月岡 良太1, 大石 美也1 (1.アイングループ(株)アインホールディングス, 2.(株)アインファーマシーズ アイン薬局 水戸宮町店)

【目的】
神経障害性疼痛治療薬であるプレガバリン(以下、PRG)とミロガバリン(以下、MGB)の有害事象として浮腫の発現が報告されており、その解消にむけて利尿薬が処方される処方カスケード発生が懸念される。そこで、有害事象自発報告データベースであるJADERを用いてPRGおよびMGBと浮腫との関連性を確認するとともに、レセプトデータからこれらと利尿薬の処方状況を調査した。
【方法】
PRGとMGBを対象薬剤、浮腫を対象有害事象として、2013年4月~2022年12月のJADERから、医薬品と有害事象の関連性評価に用いる報告オッズ比(以下、ROR)を算出した。また、2018年1月~2022年12月の当社グループ保険薬局の匿名加工済みレセプトデータから、浮腫発現をループ利尿薬(以下、LDs)処方で代替したsequence symmetry analysis(以下、SSA)を利用し、対象薬剤の開始前後360日間のLDs処方数より、有害事象発現リスク評価に用いられる調整順序比(以下、ASR)を算出した。なお、SSAの感度を分析するために、処方開始前後30日、60日、90日および180日のASRも算出した。RORおよびASRは、95%CI下限値が1を上回る場合、対象薬剤と浮腫との「関連性有り」とした(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-0199)。
【結果】
RORは、PRGが6.59(95%CI:5.66-7.67)、MGBが8.50(4.86-14.85)となり、「関連性有り」と判定された。また、処方開始前後30日、60日、90日、180日および360日の全てにおいてASRの95%CI下限値が1を上回り、「関連性あり」と判定された。
【考察】
本研究より、JADERからPRGおよびMGBと浮腫との関連性が確認され、SSAからこれらの浮腫に対してLDsが処方される処方カスケードが生じている可能性が示唆された。薬局薬剤師はPRGやMGBの服用を開始した患者について浮腫発現を注意深く確認し、処方カスケードが疑われるLDs処方時は根本的解決に向けた処方変更の提案などを実施することも必要と考える。