第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2023年10月9日(月) 13:10 〜 13:50 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-208-A] 調剤店舗における文書管理手法の実態調査と文書量評価指標の検討

川本 健裕1, 中矢 恵美1, 松井 洸2, 阿部 真也2, 山口 浩2, 野村 和彦2 (1.(株)レデイ薬局 薬事教育部 薬事・教育G, 2.(株)ツルハホールディングス)

【目的】
業務効率化や調剤過誤対策として、5Sの徹底は基本である。しかし、整理整頓の度合いは、その指標や基準が明確でないことが課題だった。そこで、特に文書管理手法に着目し、調剤店舗における文書管理状況の実態調査を行い、定量的評価に基づく店舗介入ができる体制を構築することを目的とする。
【方法】
2021年6~10月に当社33調剤店舗において、文書管理状況の実態調査を実施した。調査項目は、1.処方箋・指導箋を除く総文書のファイルメーター(fm)、2.文書ファイリング手法、3.文書管理スコア(独自)、4.1日当たりの2穴パンチ使用回数(聞き取り)とした。その後、統計ソフトEZRを用いて、全体fmを目的変数とした各説明変数による重回帰分析を行い、近似式を導いた。これをfmの評価基準と設定し、推定fmを50%以上超過している2店舗に対し、文書管理手法の検討調査を実施した。介入回数は各店1回ずつとし、ファイリング最適化(バーチカルファイリングの導入、適切なファイルの選択)を行った。1ヶ月以上経過後に、改めてfmの計測を行い、文書管理状況の確認とファイリングシステム変更に伴う使用感の変化を聞き取った。
【結果】
平均の全体fmは720.0cmだった。各説明変数による重回帰分析の結果、全体fmへの影響は総従業員数によるものが最も大きいと判断した。ファイリング手法は大半の店舗で簿冊式を採用しており、文書管理スコアは平均72.7、2穴パンチ使用回数は平均7.0回だった。ファイリング最適化を実施した2店舗は、平均全体fmが介入直後に約14.5%短縮され、文書管理スコアの悪化や業務効率の低下はなかった。
【考察】
今回定めた文書量の評価指標・基準により、客観的かつ具体的目標を設定した店舗介入が可能となった。ファイリングの最適化を行うことで、fm短縮に一定の効果が見られたことから、今後も5S活動を通じて文書管理をはじめとする調剤室環境を整備し、医療安全への効果を検証していきたい。