第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2023年10月9日(月) 13:10 〜 13:50 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-217-A] 薬局サービスに対する患者の認識と継続利用意思との関連

野島 郁子1,2, 長谷川 公美1, 今村 浩子1, 高眞 香織1, 松岡 啓輔2, 尾上 洋3 (1.アイングループ(株)ファーマシィ ファーマシィ薬局あけぼの, 2.福山南エリア, 3.学術支援部)

【目的】
「患者のための薬局ビジョン」には、服薬情報を一元的・継続的に把握し、患者本位の医薬分業の実現に取り組むと記載されているが、服薬情報の一元的・継続的管理推進には、まず患者自身がその薬局を継続して利用したいと感じること、すなわち継続利用意思(ロイヤルティ)の形成が必要である。本研究では薬剤師、医療事務、薬局のどのような機能が患者の満足度やロイヤルティを高めるのか検討を行った。
【方法】
2022年8月1日~9月30日における当薬局の来局者を対象に、薬剤師の本質機能および表層機能について、医療事務のマナーおよびホスピタリティ、薬局設備・環境、薬局満足度、ロイヤルティに関する項目から成る質問紙調査を実施した。解析は、主成分分析により得た満足度およびロイヤルティから抽出された第1主成分(総合評価)を目的変数とし、この目的変数に対して一定以上 (r≧0.4) の相関を有する質問項目を選抜し、それらを薬剤師、医療事務、薬局設備・環境に関する項目の3群に分け、各群の第2主成分まで求めこれを説明変数とする選抜型多群主成分回帰分析を行った。
【結果】
薬剤師に関する項目の第1主成分(薬剤師力)、第2主成分(薬剤師の本質・表層機能)、医療事務に関する項目の第1主成分(医療事務患者対応力)、第2主成分(医療事務のマナー・ホスピタリティ)、薬局設備・環境に関する項目の第1主成分(環境・設備充実度)、第2主成分(薬局の利便性・過ごし易さ)のうち、薬剤師力(標準β=0.29、p=0.027)、医療事務のマナー・ホスピタリティ(標準β=0.17、p=0.016)が目的変数と有意な関連を示した。
【考察】
ロイヤルティ向上に向けた医療事務による患者対応には、ホスピタリティが求められる。一方、薬剤師にはホスピタリティをはじめとする表層機能に優れるだけでなく、薬剤師の本質機能である高い専門性が伴ってこそロイヤルティの向上、すなわち一元管理推進が達成できると考えられた。