第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2023年10月9日(月) 13:10 〜 13:50 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-226-A] 薬剤師の役割に対する患者と薬剤師の評価の違いー制度改革の影響および薬剤師の評価を高める要因ー

高橋 直仁1, 大島 新司1, 吉田 暁1, 堀井 徳光1,2, 三ケ田 潤哉1, 小林 大介1,2 (1.城西大学, 2.城西大学薬局 毛呂本郷店)

【目的】
薬剤師が能動的により良い患者中心の医療に貢献するためには、患者の意見に沿った業務展開が重要である。本邦では、薬剤師が対人業務に注力することが求められており、様々な制度改革が施行されている。その中でも服薬指導については、薬剤師法25条の2に規定されており、薬剤師法の改定の度にその水準が厳しくなっている。本研究では、役割理論の考えに基づき、制度改革が薬剤師の対人業務に対する患者および薬剤師の認識にどのような変化を与えたかを調査するため、2019年の法改正後(2021年)に薬剤師の役割に関する意識調査を実施し、前回調査(2017年)と比較検討した。
【方法】
2021年4月30日から2021年5月6日にかけて、患者1000名、薬剤師600名を目標に、薬剤師の役割に関する11の質問についてインターネット調査を実施した。得られたデータについて、過去の調査の役割認識モデルへの当てはまり度を確認的因子分析で解析した。また、患者からの評価を高める要因を探索するため、ロジスティック回帰分析で解析した。
【結果】
データクリーニング後の適正回答者数は、患者514名、薬剤師253名であった。確認的因子分析の結果、患者からみた薬剤師の役割認識モデルは、過去の調査と同様に3因子構造であり、当てはまりも良好であった。また、ロジスティック回帰分析の結果、薬剤師のアイデンティティ項目である2項目(「患者は、医師よりも薬剤師に薬の相談をする」、「患者は、医師よりも薬剤師を薬の専門家だと思っている」)の得点を増加させる要因として、「訴えを理解し、的確に答えている」および「かかりつけ薬剤師」が浮かび上がった。
【考察】
法改正後も、患者からみた薬剤師の役割認識モデルは変化しておらず、薬剤師が専門家として患者から高く評価されるためには「訴えを理解し、的確に答えている」および「かかりつけ薬剤師」が重要な要因であることが示唆された。